世界経済の地盤沈下、貧困化を止めるには「先進国の移民活用が不可欠」とIMF。どうする日本…
国際通貨基金(IMF)が4月16日に発表した「世界経済見通し」の最新版で、「分断(fragmentation)」を重要なテーマとしていることを最近の寄稿(4月22日付)で紹介した。 【全画像をみる】世界経済の地盤沈下、貧困化を止めるには「先進国の移民活用が不可欠」とIMF。どうする日本… 地政学リスクを背景に、貿易や直接投資のような国境を越えた経済活動の効率性が低下し、世界全体として見た時にアウトプット(生産量)が減って貧しくなっていく、そんなIMFの問題意識もしくはメッセージを読み取ることができた。 前回寄稿では最新版「見通し」の第1章を中心に取り上げたが、他の章では上記の議論により深く踏み込んでいる。 特に「世界経済の中期的成長の鈍化:流れを変えるには(Slowdown in global medium-term growth: What will it take to turn the tide?)」と題した第3章は、世界経済の鈍化傾向を真正面から要因分析している。 冒頭には「より低い成長率レジームへの潜在的な下方シフト(a possible downshift to a lower-growth regime)」への言及があり、世界経済の地盤沈下が専門家の間で共通認識になりつつある状況が読み取れる。 下の【図表1】は、実質GDP(国内総生産)成長率について、2000年以降の春季「世界経済見通し」における5年後予想(例えば、2029年のマーカーは、2024年4月発表の「見通し」における予測値)をプロットして、その推移を見たものだ。 一目瞭然、世界経済の勢いは確実に削がれつつある。 成長率が鈍化すれば、貧困の解消は進まず、生活水準も低下していく。成長見通しが鈍化する過程では設備投資なども抑制され、それがさらに成長率の押し下げに寄与することになる。結果として、政府債務の返済が困難になる国が出てくる可能性もある。 世界経済がそうしたサイクルに陥っていく間際にあり、早急に何らかの処方せんを検討する必要がある、とIMFは第3章で強調する。