生徒が時間割考え勉強以外もOK…不登校最多1万764人となった広島県、「居場所作り」に力
広島県内の不登校の小中高校生数が2023年度に初めて1万人を超えたことが、文部科学省の「問題行動・不登校調査」で分かった。人間関係の悩みや学業不振などが主な理由。近年は学校以外の居場所作りも進んでおり、県教育委員会は「一人で悩まないで相談してほしい」と呼びかけている。(岡本与志紀)
「やる気でない」「友人関係」…
不登校となっているのは小学生3380人(前年度比621人増)、中学生5362人(同684人増)、高校生2022人(同329人増)の計1万764人(同1634人増)。要因は「学校生活に対してやる気が出ない」が最多で、「学業不振」や「友人関係」なども挙がった。 加えて、「コロナ禍を経て、登校意欲が下がったことも影響している」と県教委の担当者は話す。実際、コロナ禍前の19年度は計5276人で倍増している。 不登校の児童・生徒が急増する中、受け入れ施設の重要性は高まっている。
来室でもオンラインでも
県教委が22年度に開設した県教育支援センター「スクールエス」(東広島市)には11月末現在、不登校の小中学生計約180人が登録している。生徒自身が時間割を考え、勉強以外の活動も選択できるのが特徴で、毎週火~金曜にオンラインと来室のどちらかを自由に選んで利用できる。 11月中旬、施設では学習室で問題集を懸命に解く子や、別の部屋で木材をノコギリで切って工作に励む子などがおり、思い思いの時間を過ごしていた。 学年ごとのクラスはなく、様々な年齢の子どもたちが同じ空間で過ごす。多い日にはオンラインと来室で計約50人が利用するという。電車で往復3時間かけて通う中学2年の女子生徒(14)は「小学生の頃から人間関係に苦しんで学校に行けなくなったが、スクールエスで趣味や価値観の合う友達を見つけられた。勉強も自分のペースで進められるし、通うのが楽しい」と笑顔を見せた。
校内個別支援400人利用
県教委は学校内での支援にも力を入れている。19年度から始めた「SSR(スペシャルサポートルーム)」だ。県内の公立小中学校に担当教員を配置し、教室になじめない児童や生徒を個別で支援する。教室への復帰を前提としておらず、自らのペースで学習し、時間割も柔軟に調整できる。23年度は35校で開設され、約400人が利用した。 県教委の渡辺美佳・不登校支援センター長は「フリースクールやオンライン授業の実施など、学びの選択肢は多様化している。子どもの個性や家庭の事情などに合わせた対応策を選んでほしい」と語る。 県教委は、県立教育センター(東広島市)内の「心のふれあい相談室」で不登校に関する相談を受け付けている。平日午前9時~午後4時、心理療法士が電話や対面で応じる。問い合わせは(082・428・7110)。