韓国大統領弾劾案可決…現職大統領では3人目
12月3日に発生した非常戒厳事態「ソウルの夜」は11日ぶりに尹錫悦(ユン・ソクヨル)大統領に対する弾劾訴追に帰結した。韓国国会は14日の本会議で尹大統領弾劾訴追案を通過させた。現職大統領の弾劾案が国会を通過したのは2004年の盧武鉉(ノ・ムヒョン)大統領、2016年の朴槿恵(パク・クネ)大統領(いずれも当時)に続き3回目だ。 国会はこの日午後に本会議を開き、尹大統領弾劾案を上程した。在籍議員300人全員が投票に参加し、賛成204票、反対85票、棄権3票、無効8票で弾劾案が可決された。可決定足数の200人より4票多かった。野党議員192人がすでに賛成の意思を明らかにしていた点を考慮すると、与党議員のうち最小12人が賛成票を投じ、23人が反対陣営から離脱したことになる。 先週には108人のうち3人だけが採決に参加し、105人が投票そのものをしなかった与党「国民の力」の議員もこの日は全員が投票に出た。12日に尹大統領が「大統領の非常戒厳宣布権行使は司法審査の対象にならない統治行為」として事実上退陣を拒否し与党内の気流が揺れたと評価される。「国民の力」の韓東勲(ハン・ドンフン)代表はすぐに「事実上の内乱を自白する趣旨」として弾劾賛成の立場を示し、続いて韓代表派の議員も公開的に弾劾賛成を表明した。14日に開かれた「国民の力」の議員総会では権性東(クォン・ソンドン)院内代表の採決参加提案を討論の末に受け入れた、 「共に民主党」など野党6党が共同で発議した尹大統領弾劾案には憲法・戒厳法違反と刑法上の内乱・職権乱用・特殊公務執行妨害罪などの容疑が摘示された。非常戒厳宣布過程で実体的・手続き的要件を多く違反したという内容も盛り込まれた。尹大統領は7日午前の国民向け談話で「今回の戒厳宣布と関連した法的・政治的問題を回避しない」と話した。 弾劾案可決により尹大統領のすべての権限は停止し、憲法により韓悳洙(ハン・ドクス)首相が大統領代行を務めることになった。軍統帥権など大統領の権限がそのまま韓首相に委譲される。ただ民主党が非常戒厳事態に対する責任があるとして韓首相の弾劾を推進しており、首相の代行体制が安定的に運営されるかは未知数だ。尹大統領が25回行使した拒否権を大統領代行が行使するかどうかをめぐり民主党の攻勢が続く見通しだ。過去には2004年に高建(コ・ゴン)氏が大統領代行を務めていた際に赦免法改正案など2回の拒否権を行使した前例がある。 禹元植(ウ・ウォンシク)国会議長が弾劾訴追議決書を民主党所属の鄭清来(チョン・チョンレ)国会法制司法委員長に伝達し、鄭委員長が弾劾訴追議決書正本を憲法裁判所に送れば弾劾審判手続きが開始される。現在憲法裁判所は裁判官9人のうち国会推薦枠の3人が空席だが弾劾審判審理は可能とみられる。憲法裁判所が10月に審理定足数を裁判官7人と規定した憲法裁判所法条項の効力を停止したためだ。尹大統領に対する検察と軍検察による特別捜査本部と、警察、高位公職者犯罪捜査処、国防部調査本部による共助捜査本部の捜査は弾劾審判と関係なく進められる。 憲法裁判所は弾劾審判事件を受け付けた日から180日以内に宣告しなければならない。朴槿恵元大統領の場合、2016年12月9日に弾劾訴追が議決され、約3カ月後の2017年3月10日に憲法裁判所が弾劾を認容した。尹大統領の場合、比較的単純な事件で憲法裁判所の決定が早まる可能性があるという意見と、尹大統領が直接法理争いをするので予想より決定が遅れるかもしれないという見方に分かれる。憲法裁判所が尹大統領罷免を決めれば、その日から60日以内に大統領選挙を実施する。