『ブギウギ』『マッサン』『花子とアン』 第1話に繋がる構成が朝ドラにもたらす感動
NHK連続テレビ小説『ブギウギ』の第19週では、スズ子(趣里)は愛娘の愛子の育児に奮闘することで、愛助(水上恒司)を亡くした悲しみから立ち直っていき、歌手活動に復帰する。羽鳥(草彅剛)に新曲を作ってほしいと依頼したスズ子は、完成した「東京ブギウギ」をショーで披露することになる。 【写真】華やかな「東京ブギウギ」のステージ 第91話は、ステージへと向かうスズ子の姿を描いた第1話の冒頭へと戻る。劇場の楽屋で、娘がかわいくて離れ難いスズ子に、茨田りつ子(菊地凛子)が「あなたの下手な歌をお客さんが待ってるでしょ?」と声をかけ、羽鳥が「さあ、行こう! トゥリー、トゥー、ワン、ゼロ!」と促した第1話の冒頭。スズ子が「お母ちゃん、お客さんとズキズキワクワクしてくるわ」と言いながらステージへと飛び出し、「東京ブギウギ」を歌い踊った、あの躍動感あふれるシーンに、ついにつながるのだ。 近年の朝ドラでは、『ブギウギ』と同じように、第1話の冒頭で大人になった主人公をチラ見せしてから、子ども時代から始まる物語を描き、やがて冒頭のシーンへとつながっていくという構成がよく使われる。 直近の『らんまん』では、山の中を散策する青年期の万太郎(神木隆之介)が、小さな植物に向かって「おまん、見たことないき。ひょっとして新種じゃないかえ? のう、初めまして」と話しかけ、はしゃぐ姿が描かれた。この時、万太郎が見つけた植物はヤマトグサという日本の固有種で、この発見に至るまでのさまざまな出来事が、子ども時代から描かれていった。 『舞いあがれ!』の第1話は、主演の福原遥がパイロット姿で旅客機を操縦し、機内アナウンスをしているところから始まった。この時、主人公の舞(浅田芭路)はまだ子どもで、家族と一緒にその飛行機に乗っているのだが、これは舞の見た夢だった。後に、舞がパイロットを目指し、最終話では空飛ぶクルマ「かささぎ」の操縦を任されることになる未来をチラ見せしていたことになる。 『エール』の第1話の冒頭は異色で、紀元前1万年の原始時代からスタートし、主演の窪田正孝とヒロインの二階堂ふみによるミュージカル風の演出が施されたが、物語に入ると、昭和39年(1964年)10月10日、国立競技場で東京オリンピックの開会式がまさに始まろうという時、窪田が演じる裕一の姿が見えないという場面が映し出された。二階堂演じる妻の音は、慌てて裕一を探し回るのだが、裕一は自分が作曲した開会式の曲がみんなに受け入れられるのか不安で隠れていたのだ。その後、物語は2人の幼少期にまで遡り、裕一と音が出会い、音に支えられながら、裕一が東京オリンピックの曲を依頼される名作曲家になるまでにつながっていくという構成だった。