「たばこ税」の税率は「過去38年で15倍」…データからわかる増税の「意外な効果」とは
「定額減税」等を盛り込んだ政府の経済対策が決定しました。年末に出される予定の与党の税制調査会の「2024年度税制改正大綱」にも影響が及ぶとみられます。たとえば、従来いわゆる「防衛増税」の一環として2024年以降に「たばこ税」の増税が提起されていましたが、その開始時期等も見直される可能性があります。本記事では、「たばこ税」の現状とこれまでの増税の経緯、増税の効果について解説します。 【早見表】年金に頼らず「夫婦で100歳まで生きる」ための貯蓄額
たばこの税金は価格の「60%超」
たばこ税は、たばこの製造者等から小売販売業者等に売り渡された「製造たばこ」に課税される税です。価格転嫁されており、実質的にたばこ購入者が負担しています。 たばこ税は厳密にいえば、国税である「たばこ税」と「たばこ特別税」、地方税である「都道府県たばこ税」「市区町村たばこ税」に分けられます。 20本入り1箱・580円(消費税込)の商品だと、たばこ税は以下の通りです(JTホームページ「たばこ税の仕組み」)より。 【紙たばこ20本入り1箱・580円(消費税込)の商品のたばこ税の内訳】 ・たばこ税(国):136.04円 ・たばこ特別税(国):16.4円 ・地方たばこ税(都道府県・市区町村):152.44円 このほかに「内税」として消費税(52.72円)がかかっており、たばこ税と消費税を合わせると、購入代金のうち61.7%が税金ということになります。
たばこ税の税率は過去38年間で「15倍」に
実は、たばこ税の税率は、昔からこれほど高かったわけではありません。JT「Fact Sheets」によると、紙巻たばこ1本あたりのたばこ税は、1985年時点で1.13円だったのが、徐々に引き上げられ2022年10月時点で約15倍の15.244円に達し、現在に至っています([図表1]参照)。 以上は紙巻たばこに関する税率です。加熱式たばこと葉巻たばこについては軽い税率が適用されていました。しかし、いずれも段階的に引き上げられ、2022年10月から、紙巻たばこと同じ税率が適用されています([図表2]参照)。