背番号「17」のプロ注目147キロ右腕、帽子のツバの裏に記したびっくりワード ノーシード福岡第一が継投で進撃【高校野球福岡大会】
◆第106回全国高校野球選手権福岡大会4回戦 福岡第一3―2真颯館(12日、北九州市民球場) ノーシードの福岡第一が「ストロングポイント」に掲げる継投でシードの真颯館に競り勝った。初戦(2回戦)の3人、3回戦の5人に続き、4人を投入。キーマンとなったのが3番手の前田明慶(3年)だ。背番号「17」ながら、最速147キロを誇るプロ注目右腕は2点リードの5回無死一、二塁で登場。この日最速で144キロを計測した真っすぐを軸に後続を断つと、7回までの3イニングで計3三振を奪い、零封した。 ■【写真】前田明慶が帽子のツバの裏に記した「お前、ビビってるやん。」の文字 昨秋からの右肘痛が癒え、投球練習を再開したのが大会1カ月前だった。「将来(プロ)もありますし、けがからの復帰過程なので」と山下裕監督(44)は配慮。先発でも抑えでもなく、中継ぎでの起用に限定しているのは「試合の流れが動きやすい中盤を前田の球威で締めて、自分たちのペースで戦うため」と説明した。 福岡第一は今夏、前田も含めて計6投手がマウンドに上がっている。「福岡大会は(1回戦からだと)8回勝たないと甲子園に行けません。先発完投よりも、つないで一つずつアウトを重ねていくのがうちのスタイルですから」。この山下監督の意図を前田も理解している。「投手6人のうち3年生が5人。団結力では負けません」 力投を支えるのは気迫だ。帽子のツバの裏にあえて記した「お前、ビビってるやん。」の文字を目に焼き付け、スリークオーターから雄たけびを上げながら投げ込む。次戦は春の福岡大会を制した春日と8強入りを懸けて激突する。「負けられません。チームのためにも投げ抜きます」。前田が拳を握った。準優勝した1988年夏以来の甲子園へ、必勝スタイルを確立させた福岡第一が台風の目になりそうだ。 (西口憲一)
西日本新聞社