いびつな土地なら相続税が安くなる!「不整形地補正率の評価方法」を税理士が解説
相続で引き継ぐ土地の評価を少しでも下げたい……そう思う人も少なくないでしょう。その場合「不整形地補正率」を利用すれば、少しの土地のゆがみでも相続税の減額が見込めるかもしれません。相続専門税理士が解説します。 【ランキング】都道府県「遺産相続事件率」…1~47位
大部分の土地は不整形地補正率で評価を下げられる可能性がある
不整形地補正率=土地のゆがみにより評価を下げるための調整率 土地は必ずしも図表1の土地Aのような正方形や長方形の整形地であるとは限りません。なかには、図表1の土地Bのようにゆがんだ形の土地もあります。 このような不整形地は整形地に比べて宅地としての利用価値が低いと考えられることから、相続税の評価をする際には、不整形地補正率を使って土地の評価を下げることが可能です。 また、見た目が四角い形状で不整形とは考えづらい土地でも、少しのゆがみにより不整形地補正率を使った補正ができるケースもあります。たとえば、図表2の土地Cのように、道路に斜めに接しているような場合などです。 不整形地補正率は、地積区分とかげ地割合の2つによって定められています。不整形地補正率の調べ方を、ステップ別に説明します。
不整形地補正率の調べ方
STEP1.地積区分の判定 地積区分は、図表3の地積区分表のとおり、地区区分ごとに面積に応じてA、B、Cの3段階で定められます。 対象の土地がどの地区区分に該当するかは、路線価図から確認することができます。 平成19年1月1日以降、ビル街地区の土地は不整形地補正率による補正はできなくなりました。したがって、地積区分表にはビル街地区の記載はありません。 STEP2.かげ地割合の判定 かげ地割合を調べるには、まず初めに不整形地を囲む長方形の土地を想定します。これを「想定整形地」といいます。 想定整形地をとる場合は、図表4のように、道路に面する最小面積の長方形(正方形)になるようにします。 ここで注意が必要なのは、想定整形地は道路に対して垂直になるようにとる点です。図表4の土地Cでは、左側の想定整形地の取り方が正しく、右側の取り方は誤りとなります。 不整形地の面積が想定整形地の面積から10%以上欠けていれば、不整形地補正率で減額ができます。 不整形地の面積が想定整形地の面積に対して欠けている割合を「かげ地割合」といい、次の算式で計算します。 かげ地割合=(想定整形地の面積-不整形地の面積)÷想定整形地の面積 不整形地補正率は図5に示すとおりです。普通住宅地区の500m2未満の土地(地積区分A)でかげ地割合が65%以上の土地では、不整形地補正率は0.60となります。 不整形地を使った補正は整形地であるとした場合の価額に不整形地補正率をかけるため、不整形地補正率が0.60であれば評価は40%下がることになります。 先ほどの「STEP2.かげ地割合の判定」の項目でも紹介したとおり、想定整形地の取り方は間違えやすい場合があります。 想定整形地の取り方を間違えると、かげ地割合は誤った数値が計算されます。誤ったかげ地割合をもとに不整形地補正率を参照すると、土地の評価計算を誤り、最終的には相続税の金額計算も間違えることになります。 想定整形地の取り方は、ここで紹介した以外にもさまざまな考え方があります。判断に迷う場合は、財産評価に詳しい税理士など専門家に相談するのがよいでしょう。