【大学野球】首位打者獲得 早大・尾瀬雄大「六大学で技術的に一番優れている」小宮山悟監督
また、出た――。敵軍はもちろん、味方もあきれるほど出塁する早大の1番打者・尾瀬雄大(3年=帝京)。今春は12試合、すべて1番で出場。1回の先頭の打席は12回中、8回ヒットを放った驚異のリードオフマンだ。48打数23安打、4割7分9厘という圧倒的な数字を残し、2位の明大・小島大河(3年=東海大相模)にほぼ1割(小島は3割8分1厘)の差をつけ、自身初の首位打者に輝いた。 23本の安打のうち、センターから逆方向に放った数は15本。金森栄治助監督(67)の教えを元に、常に逆方向へ打つ意識で練習してきた。「金森さんの助言でもあるんですが、引っ張るよりもボールを長く見て引きつけて逆方向に打った方が率は残る。バッティング練習でみんなバーンって飛ばすけど、自分はとにかく逆方向にライナーを打ち続けていた」。その成果は、しっかり数字にも表れた。 早慶戦2回戦では今季初の本塁打も記録したが、引っ張る気はまったくなかった。「センター前とかレフト前を打つイメージで、たまたまいい感じで当たってホームランになっただけ。長打とか大きいの狙おうとか、引っ張ろうとは思っていなかった。変化球のタイミングがずれて今日のホームランみたいに引っ張ってというのはあっち(逆方向)を意識した中でもできる。それよりも逆方向にしっかり打てるように」と継続してきた安打製造機。そのスキルの高さは小宮山悟監督(58)も「六大学で一番技術的に優れているバッターは尾瀬」と感心するほどだ。 指揮官はMVPを問われ、「(エースの伊藤)樹(3年=仙台育英)がよく頑張ったという気持ちは強い」とフェイントをかけつつ「ただ、12試合あって第1打席で8回も出塁するってなかなかできない。それを考えると尾瀬にあげてもいいかな」と名前を挙げると、ガッツポーズで喜びを爆発させた。「こうやって普段あまり褒めてもらえないので、すごくうれしいです」と白い歯を見せた。 「首位打者をずっと、目標にしてこの冬場取り組んできた」と感慨深げに語った尾瀬。全日本大学野球選手権の初戦は11日。日本一へ突き進む早大の1番打者は、誰にも代えられない。(臼井 恭香)
報知新聞社