労働者の40%以上は「燃え尽き症候群」これまで以上に重要な「職場での思いやり」
ストレスと燃え尽きは過去最高レベルに
■ストレスと燃え尽きが過去最高レベルに達している 雇用不安、過負荷、長時間労働、経済的不安など、従業員へのプレッシャーはかつてないほど大きくなっている。その結果、燃え尽きは過去最高の水準に達している。 Future Forum(フューチャー・フォーラム)が世界規模で実施した調査によれば、世界の労働者の40%以上が燃え尽きを感じている。世界保健機関(WHO)は燃え尽きについて、仕事に関連した複数のストレス症状と定義している。一般的な症状は、集中困難、疲労、そして、頻繁な頭痛といった原因不明の身体症状だ。 Academy of Management Journalに発表された研究によれば、職場での思いやりは、ストレスや燃え尽きの感覚を軽減させる。親切なやりとりがあると、シニカルな考え方をしなくなり、他者とのつながりをより強く感じるようになるためだ。 一方、職場での思いやりとは、同僚に対するものだけではない。自分自身への思いやりは、自分のニーズを満たすための健全な境界線を引く手助けとなり、燃え尽き感の軽減につながる。自分を大切にすることは、ネガティブな感情や、厳しい自己批判を抑えるのに役立つ。 ■従業員の不安が急上昇している 従業員支援制度の管理サービスを提供するComPsych(コムサイク)の最新データによれば、メンタルヘルスの支援を求めた人の4分の1近く(24%)が、不安の解消を求めていた。米国の従業員がメンタルヘルス関連のサービスを受ける理由の第1位は、うつ症状やストレスなどを抑えて「不安」となっている。最近の世界的な混乱や、さまざまな業界で行われているレイオフに関連する経済的不確実性を考えると、これらの結果は理解できるものだ。 良いニュースとしては、職場での何げない親切が、不安を軽減するということが挙げられる。これは、『Journal of Positive Psychology』に発表された研究で示されたことだ。この研究では、無作為に親切な行動をとったグループは、不安が大幅に軽減し、生活の満足度が高まった。また、職場での親切な行動も、社会的支援があるという感覚を高め、その効果は最長5週間にわたって持続した。 有害な職場文化は、従業員の健康をむしばみ、定着率の低下を招いている 米心理学会による2024年版『Work in America Survey(米国の仕事調査)』によれば、従業員の15%が「やや」または「非常に」有害な職場で働いている。当然ながら、これらの人々の大多数(89%)が、職場の心理的安全性が低下していると報告している。 残念ながら、有害な職場文化は、従業員の心身の健康に悪影響を及ぼす。さらに、有害な職場環境は、士気や生産性の低下、高い離職率にもつながる。一方で、職場での思いやりは、健全な企業文化の創造と維持に役立つ。 リーダーが職場に思いやりを取り入れると、好奇心やイノベーション、生産性を促す環境が生まれる。このような組織では、生産性が高く、仕事に熱心な従業員が増え、ストレスの軽減と定着率の向上にもつながる。 大量解雇、政治的緊張、経済的不安が高まっている今、職場での思いやりは必要不可欠だ。リーダーが、思いやりや感謝、つながりを奨励することで、ポジティブな文化を意図的に生み出すことからすべてが始まる。 次の会議では、評価に値する従業員を称賛することや、プロジェクトで苦労している同僚を手助けすることをためらわないでほしい。そしてその先には、そうした行動が当たり前になり、より包摂的で肯定的な職場文化が醸成されるだろう。
Caroline Castrillon