センバツ高校野球 浦学、強豪破り4強(その1) 伊丹、鍋倉が本塁打 /埼玉
第94回選抜高校野球大会(毎日新聞社、日本高校野球連盟主催)第9日の28日、浦和学院は準々決勝で九州国際大付(福岡)と対戦。優勝候補の一角を6―3で降し、7年ぶりのベスト4進出を決めた。先行して2度追いつかれる接戦となり、伊丹、鍋倉の本塁打が流れを決めた。浦和学院は大会第10日第1試合(30日午前11時開始予定)で、近江(滋賀)との準決勝に臨む。【平本絢子】 2度目に同点とされた直後、3―3で迎えた八回裏。伊丹、金田が出塁し、1死一、二塁で4番・鍋倉が打席に立った。「伊丹と金田がつないでくれた。自分も打ちにいかないと、と思った」。5球目、やや高めの直球を振り抜くと、打球は一直線にライトスタンドへ吸い込まれた。「詰まってライナーになるかと思ったが、伸びてくれた」。試合の流れを引き戻す、勝ち越し3点本塁打。右手の拳を何度も握って塁を回った。 浦和学院が先行し、九州国際大付が猛追する展開だった。 初回、金田の左前適時打で先制。母の治代さん(55)は「とにかく1本打ってほしかった。ほっとした」と表情を緩める。金田は、1―1とされた後の六回にも、本塁打を放った伊丹に続いて右中間越え二塁打。鍋倉の右前適時打で生還し、2点を勝ち越した。 伊丹の父、重信さん(56)は自身も元球児。「甲子園は自分の夢でもあった。ホームランを打ってほしいと願っていたが、(現実になると)頭は真っ白です」 その点差を詰め寄られた八回表のピンチ。途中登板の金田にメガホンがたたき鳴らされる。「大丈夫、落ち着いて」。野球部で選手の栄養管理などに関わる医師の伊藤史子さん(52)もスタンドから祈った。2死満塁から相手の4番が放った左前安打をレフト小林が好返球。勝ち越しの相手走者を本塁でタッチアウトとし、八回裏の反撃につなげた。 校内応募で部活の仲間と駆けつけた仲戸咲来さん(17)は「応援するのに精いっぱいだったが、うれしい。浦学らしく最後まで点を取る攻撃がすごかった」と力を込めた。 2021年秋から指揮を執る森監督は、父・森士前監督が就任初年度に実現したセンバツ4強に並んだ。「前監督の偉業は遠い目標だった。選手たちは最後の最後に魂を見せてくれた」とたたえた。