4月から子宮頸がん検診が大きく変更!30代以降の女性はHPV検診がメリット大
子宮頸がん検診は、20歳以上の女性が2年に1回受けることが推奨されている検診です。この4月から、30代以上の受診者は、HPV(ヒトパピローマウイルス)検診という新しい方法に変更する方針と厚労省が発表しています。 【画像】HPV検診は具体的にどういう検査をするの? HPV検診をして結果が異常なしなら、次の検査は5年後でOK。コスパもタイパもいいHPV検診とは、どのようなものなのでしょうか? 日本のHPV研究の第一人者、産婦人科医の今野良先生に伺いました。
メリットが多いHPV検診とはどんなもの?
増田:子宮頸がん検診は、これまで20歳から2年に1回の細胞診でした。これが4月から、30歳以降の女性はHPV検診に変わるのですね? 今野先生:厚生労働省はこの4月から、子宮頸がん検診を新たにHPV検診に変更する方針を決めています。日本で子宮頸がん検診が始まったのは1960年頃です。子宮の入り口である子宮頸部から細胞を採取して異常の有無を調べる「細胞診」という方法で、今もこの細胞診が行われています。 今回、新しく導入が決まった「HPV検診」は、WHO(世界保健機関)が推奨し、先進国はもちろん、開発途上国でも行われている検診方法です。これまで日本で国が推奨してきた細胞診に比べ、メリットが高い検診です。 増田:今まで行われている細胞診よりHPV検診のメリットが高いのは、どんな点ですか? 今野先生:大前提として、子宮頸がんの原因はほとんどがHPV感染です。性交渉によってHPVに感染し、自然感染が消滅する場合も多いのですが、一部のハイリスク型ウイルスに長期間感染していると、5~10年以上を経て子宮頸がんになります。つまり、HPV検診は子宮頸がんの原因となるウイルス自体の存在を調べます。HPVが感染しても、何も症状はありませんが、一部が細胞の形の変化を起こします。 細胞診は、顕微鏡を使って細胞に異常がないかを人の目で判断する検査のため、結果にばらつきがあることがこれまでも問題となっていました。細胞診は、がんの前段階である中等度異形成(CIN2)以上やがんを正しく診断できる感度(陽性であることを正しく判定できる割合)は70%とされています。 一方、HPV検診では、同じくがんの前段階である中等度異形成(CIN2)以上やがんを正しく診断する感度は95%以上です。つまり、HPV検診のほうが子宮頸がんを正しく見つけることができる精度が高い検査なのです。 増田:20~29歳の女性は、なぜ細胞診が継続されるのですか? 今野先生:20代の女性は、HPVに感染する可能性が高いけれども、感染は一時的なもので、細胞診の異常も起こさず、前がん状態やがんにもならずに、治ってしまうケースが多いのです。もしも、20代女性全員にHPV検診を行うと病気でもないのに多くの人が陽性になり、「要精密検査」に進む人が増えてしまい、無駄な検査で不安を募らせます。細胞診に異常が起きていない20代女性にとってのデメリットが高くなってしまうのです。また、20歳代では前がん状態になることはあっても、命にかかわるような進行がんに至ることは非常に稀です。ですから20~29歳は、今までと同じく2年ごとの細胞診が継続されます。