福島県広野町のふたば未来高男子サッカー部監督に朝岡さん 千葉県の市立船橋高で日本一3度の名将
福島県広野町のふたば未来学園高男子サッカー部監督に今春、高校サッカーの名門・千葉県の市立船橋高の監督として三度の日本一に導いた朝岡隆蔵さん(47)が着任した。東日本大震災、東京電力福島第1原発事故から13年余り。復興のシンボルとして進化を続けるふたば未来学園高に夢を感じた。「子どもたちから選ばれるチームに成長させ、福島の活性化やサッカー界の発展につなげたい」と決意を語る。 ◇ ◇ 「スペースを意識して」「勝手に悪い結果を想像しない。挑戦しよう」。ナイター照明が付いたグラウンドに朝岡さんの声が響く。数々のJリーガーやサッカー日本代表を育てた名勝が豊富な経験を選手に伝える。選手たちは真剣なまなざしでアドバイスに耳を傾ける。 市立船橋高やジェフユナイテッド千葉U―18の監督、中国の成都市サッカー協会アカデミーU―18の監督として経験を積んだ。日本サッカー協会(JFA)からトップアスリート育成や復興を担う人材育成に力を入れる同校への派遣要請を受けた。「生徒の努力を支えながら、地域に勇気を与えたい」と2月に着任した。身を置く環境を変えるのは、指導者自身が厳しい環境を求め、成長を続けるべきとの思いも自身の決断を後押しした。
部員は65人。県内各地や茨城県など県外からも選手が集う。約8割が実家を離れ寮生活を送る。JFAからの講師派遣や専用の人工芝グラウンド、Jヴィレッジ(楢葉・広野町)と連携し、JFAメディカルセンターの支援を受けられるなど恵まれた環境で練習を積む。同地域で活動するJFAアカデミー福島とも連携する。 教育とサッカーの指導は一体で目の前の人間の成長に関わる仕事―。高校、Jクラブ、海外チームのいずれの場所でも指導方針に変わりはない。日々の練習では、選手自身が自分と向き合って課題を把握し、強みを伸ばし成長を促すことを心がける。選手それぞれのプレーの幅の広がりが試合の中でも出てきた。五十嵐瞳生(とうい)主将(17)は「面と向かって、位置取りやパスなど丁寧に指導してもらえる。周りを見えるようになってきた」と成長を実感している。 今夏からインターハイ男子サッカー競技がJヴィレッジを拠点に浜通りで固定開催となる。「地元で同世代トップレベルの試合が繰り広げられることはチームにも好影響」と歓迎する。