棚田でキャンプや写真展 〝絶景〟が魅力に若者集う 保全活動にも期待
農閑期にキャンプ 上田市
長野県内の棚田で開かれるイベントが、若者の関心を集めている。上田市ではキャンプを企画し、関東圏から多くの家族連れが参加。小諸市では、大学生有志が写真展を開いた。若者に魅力を感じてもらうことで、保全活動への参加につなげる。 【画像】棚田での写真展示（小諸市） 「日本の棚田百選」に選ばれた「稲倉の棚田」に、色とりどりのテントが立ち並んだ。春の田植え前と秋の収穫後、農閑期の棚田を活用して年2回開く「棚田CAMP（キャンプ）」だ。 埼玉県から家族で訪れた池田洋さん（49）は「インスタグラムで棚田キャンプを知って、秋に続いて2回目の参加。棚田キャンプは他になく、特別感がある」と笑顔で話す。 今年は初めて、インスタグラムでフォトコンテストを企画した。稲倉の棚田保全委員会の玉崎修平さん（48）さんは「キャンプ参加者がインスタグラムに投稿することで、稲倉の棚田の魅力が広がっていく」と狙いを話す。 久保田良和委員長は「キャンプは、家族連れや若者の参加が多い。彼らが棚田に興味を持ち、保全活動に参加してもらえれば、次世代に棚田を引き継げる」と期待する。
公募写真店を企画 小諸市
小諸市の「宇坪入の棚田」は「日本の棚田百選」の一つ。棚田を保全しようと昨年12月、信州大学と佐久大学、長野大学の学生9人が「むすび」を設立した。 最初のイベントとして考案したのが、棚田で開く公募写真展。むすびの代表で、信州大3年の有賀聖那さん（20）は「棚田の存在を知ってもらい、まずは、作品を見るために足を運んでもらおうと企画した」と話す。 写真は、インスタグラムと郵送で募集。県内外から140作品が集まった。 写真展には応募者や家族連れ、大学生グループなど2日間で約150人が訪れた。松本市の大学生は「写真展の募集で初めて、宇坪入の棚田を知った。田植え後の棚田や風景も見たいので、また訪れたい」と語った。 有賀さんは「この風景を残していくには、若者が関心を持つことが第一歩」と説明。むすびは、継続して若者が足を運びたくなるイベントを考案する考えだ。（岩下響）
日本農業新聞
