<上海だより>“ノームコア”の誤解?拡大解釈の末の「性冷淡」とは?
性冷淡について大枠でその構造を捉えるとすれば、中産階級を表す「小資」というかつては贅沢を好んでいた消費者層の中において、以前にもこの連載で紹介した「文芸青年」のようなシンプル主義の価値観が融合し、さらに近年の「KINFOLK」のようなポートランドのライフスタイル、ノームコアというトレンドの一部の要素が結合したことで性冷淡の土壌が出来上がった、というところでしょう。
タイトルではノームコアの誤解、と銘打ちはしましたが、実際には直接翻訳した概念を持ち込んだのではなく、中国都市部の今起きている現象や価値観と照らし合わせた上での近似概念として流布されていると考えられます。 また、少々皮肉ではありますが、「普段着がかっこいいよね」というのは、野暮ったいとはいえ一定「普通」とされる服装が標準とされているからこそ為せる技でもあり、今の中国で「普段着」がファッションと広めたところでどうやってもオシャレには程遠い現実も無視することはできません。現代的という意味での文化的発展が出遅れてしまった中国であるがゆえに、あくまで以前までの派手さ、豪華さをそぎ落とすという形でしかノームコアという概念を輸入できない涙ぐましい現実もここにはあるのです。