智弁学園の「強打の本質」 7番打者の強攻策的中 選抜高校野球
第93回選抜高校野球大会は第4日の23日、兵庫県西宮市の阪神甲子園球場で1回戦が行われ、優勝候補同士の対決となった第2試合は近畿大会覇者の智弁学園(奈良)が2年連続出場の大阪桐蔭を破った。第8日(27日)の2回戦に広島新庄と対戦する。大阪桐蔭はセンバツでは出場12回目で初の初戦敗退となった。 【智弁学園VS大阪桐蔭 1回戦屈指の好カードを写真で】 ポッカリと空いた二塁ベース右側を打球が転がっていった。2点差に迫られた直後、六回の智弁学園。「取られた点は取り返す」という7番・森田のバスターに、強力打線の「本質」があった。 六回無死一、二塁で右打席へ。送りバントのサインが出たが、一塁手の猛チャージを受けて初球のスライダーはファウルになった。再び小坂監督を見ると「(打ちに)行け」という目配せ。考えた末に選択したのがバスター。初球と同じように一塁手は本塁へ猛チャージし、二塁手は一塁へベースカバーへ。してやったりだ。「1球目に失敗したからまた同じ球で来る」と狙い通りにスライダーをはじき返した。二塁走者に続き、悪送球で一塁走者も生還。この回はさらに1点を加え、計3点を奪って再び突き放した。 一回も無死一塁から送りバントをせず、その後、6番・植垣の3点二塁打などで4点を先取。昨秋の近畿大会決勝で大阪桐蔭を破り、挑戦を受ける立場だが、この日は立ち上がりから常に攻め続けてきた。だからといって無謀な攻撃ではない。好投手をそろえる相手に5、6点勝負と見るほど「打線には自信がある」と小坂監督は、根拠を持っていた。 昨秋の対戦では、1年夏に甲子園で4番を務めた前川が本塁打を放つなど経験豊富な「主力」の本塁打で勝利したが、再戦で光った森田と植垣は昨秋から先発出場してきた選手だ。「冬場、試合を想定して1球で仕留める練習をしてきた」と森田。主力ではない選手の成長によって強力打線が重厚になったことを、“最強”の挑戦者に打ち勝ったことで証明した。【安田光高】 ◇全31試合を動画中継 公式サイト「センバツLIVE!」では、大会期間中、全31試合を中継します(https://mainichi.jp/koshien/senbatsu/2021)。また、「スポーツナビ」(https://baseball.yahoo.co.jp/senbatsu/)でも展開します。