一斉休校要請「地方の判断を尊重」萩生田文科相が強調
安倍晋三首相が公表した全国すべての小学校、中学校、高校、特別支援学校に対する臨時休校の要請について、萩生田光一文部科学相は28日の記者会見で「期間や形態については地域の実情を踏まえて、さまざまな工夫があっていい」と地方の判断を尊重する考えを強調した。この要請には法的拘束力はないとして、「お願いベースで」協力を求めていくとした。 【図】新型コロナ、どう対処したらいい? 政府からの呼びかけまとめ また臨時休校の実効性を担保するため、児童生徒が基本的に自宅で過ごすよう指導を行い、不要不急の外出をしないよう関係省庁に協力を依頼する。
「今は感染ない自治体も集団発生する危険」
感染が相次ぐ地域に限定してではなく、全国一律での休校要請については、効果を疑問視する声もある。萩生田文科相は、感染ルートの分からない事例や、ここ数日で教育関係者の感染が確認されたことを挙げ、「いまは誰一人発症者がいない自治体であっても、学校の中でそういう事態が起これば、一瞬にしてクラスター(患者集団)化する危険がある」と指摘。そうなった場合には「児童生徒の生命・健康を守ることができない。(企業などより)まず先に学校をと言う決断に至った」と述べた。 安倍首相による突然の発表にも見えたが、一斉休校という案自体は「かねてから政府内の会議では一つのツールとして議論なされていた」と説明した。専門家からは、児童生徒や先生が集団で活動する学校は「コロナウイルスに限らず、一斉に拡大する可能性が極めて高い場所」との指摘を受けてきたという。 当初、文科省としては、実際に患者が出た場合の閉校のあり方や自治体の対応のあり方を指針として出しており、萩生田氏自身も、まだ患者のいない自治体まで閉鎖する必要はないと考えていた。ただ24日の専門家会議による「これから1~2週間が急速な拡大に進むか、収束できるかの瀬戸際」との「緊張感のある見解」(萩生田氏)を踏まえ、「明日起こる可能性は否定できない」と考えを改めたとした。 3月2日からという今回の休校要請は、学校現場や家庭に混乱を呼んでいる。萩生田文科相は、省内ではこれまでに、共働きの親が会社を休めるのか、企業によっては有給休暇が使えても短時間労働者はどうなるのか、一人親の場合はどう対応すればいいか、など予想される問題についてシミュレーションしてきたといい、「本来であれば、もう少し時間をかけて、そこにすべて答えを用意してからスタートした方が、結果として混乱を避けられるのではないかという思いもあった」と述べた。しかし27日の政府内の話し合いの中で、それよりも「1日も早く学校を閉めて子どもたちの安全守ることを優先しよう」という結論に至ったと述べた。 一斉休校によって生じる問題については、「政府が責任を持つと総理が国民の皆様に約束した」として、予算的措置が必要なことについては関係各省で詰めを行っているとした。