医師が語る、40代からの健康診断で必ずチェックすべき「4つの数値」
理想の肉体への「改造」に挑むなら、まずは自分の身体の状態を把握しておきたいもの。年に一度の健康診断はその絶好の機会だ。ところが、忙しさに紛れて「健診を受けっぱなし」のビジネスパーソンは少なくない。『THE21』2024年8月号では、要注意項目を放置して後悔しないために、「せめてここだけは」というポイントを、産業医の森勇磨氏に教えてもらった。(取材・構成:林加愛) 【図】健診データで必ずチェックすべき4項目を見る ※本稿は、『THE21』2024年8月号特集「50代からの『肉体改造』入門」より、内容を一部抜粋・再編集したものです。
健診データは、せめて 「ここだけ」見よう
40~50代ともなると、年1回の健康診断の結果にいくつか要注意ポイントが出てくる方がほとんどでしょう。ところが残念なことに、多くの方がそれを放置しています。その結果大病に至ったケースを、私は数多く見てきました。 そんな事態を避けるには、皆さんが予防の意識を高めなくてはいけません。 では、それを阻んでいるものは一体何でしょうか。 原因の一つは、健診データの「情報量の多さ」だと考えられます。多忙な方ほど、「細かいデータをじっくり見る時間はない」「数値が覚えられない」と感じる傾向があるようです。 産業医の立場から言えば、健診データはすべて重要で、丹念に見ていただきたいのが本音です。しかし、皆さんのハードルを下げ、自分の健康状態を最低限把握していただくためにも、「せめてここだけは」という基本ポイントをお伝えしましょう。 必ずチェックしていただきたいのは、①血圧②コレステロール値③血糖値④尿酸値です。 ①~③は、放置すると血管を詰まらせる危険が高まります。血圧が高いと血管壁が傷み、血糖値が高ければ、やはり糖分で血管壁が傷つきます。悪玉コレステロール値が高いと「プラーク」という脂肪の塊が血管に付着して血管が狭くなります。そうした結果、脳梗塞や心筋梗塞のリスクが高くなるのです。 ④の尿酸値は、痛風および尿路結石リスクの指標です。どちらも①~③ほど深刻な病気ではありませんが、尿酸値の悪化は、身体の各所で尿酸が蓄積しているサインでもあります。痛風や尿路結石になると激痛を伴いますし、結晶が腎臓に付着する「痛風腎」になると、慢性腎臓病や腎不全を引き起こす可能性があります。 また、尿酸値が高いほど高血圧や糖尿病リスクが高まるというデータも。尿酸が活性酸素を生み出すことで、動脈硬化を招くからだと考えられます。