ストラテジックCが淀川鋼に株主提案、不動産売却含む計画策定を
(ブルームバーグ): アクティビスト(物言う株主)のストラテジックキャピタルが、淀川製鋼所が6月下旬に開催予定の定時株主総会で、株価純資産倍率(PBR)1倍以上を目指すための具体的な計画策定を求める株主提案を行うことが24日、分かった。
ブルームバーグが入手したストラテジックCの文書によると、淀川製鋼所のPBRは過去25年間で解散価値である1倍を安定して上回ったことがないと指摘。株価の長期低迷から抜け出すには、抜本的な経営改革や資本政策の変更が必要だとしている。23日終値のPBRは0.69倍にとどまる。
淀川製鋼所の株価は24日の取引で、ストラテジックCによる株主提案の報道後、一時前日比2.9%高の4675円まで上昇した。
東京証券取引所は、PBR1倍割れの上場企業などに資本コストや株価を意識した経営を求め、具体的な取り組みの開示を求めている。アクティビストの間ではその一環として、保有不動産の含み益を実現するよう企業に要求する動きも目立っている。ストラテジックCが同社に対して株主提案を行うのは初めて。
ストラテジックCは、淀川製鋼所が3月28日現在、東証の求める対応を行っていないとした上で、PBR1倍を下回った際に、1倍以上を目指す経営計画を策定・公表する旨の定款変更を求めた。資本コスト以上の収益性を持たない政策保有株や、賃貸用不動産の売却などを含む合理的内容でなければならないとしている。
配当水準の指標の一つである株主資本配当率(DOE)6%となる配当の実施、買収防衛策の廃止、株主優待制度の廃止、自己株消却も同時に提案する。同ファンド広報担当の長野純季氏は文書の内容を確認した。
淀川製鋼所はメッキ鋼板、カラー鋼板など各種鋼板のほか、「ヨド物置」などリテール向け商品も手掛ける鋼板メーカー。ブルームバーグのデータによると、ストラテジックCは淀川製鋼所株式の5.03%を保有している。
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Takako Taniguchi