【米大統領選】トランプ氏返り咲きで、さらなる「物価上昇」の可能性が...高関税・移民排除政策で日本の生活はどう変わる?
11月5日(現地時間)に投票が行われた米大統領選挙において、トランプ氏が大統領に返り咲くことが決定しました。トランプ大統領の誕生によって日本にはどのような影響が及ぶのでしょうか。 【実際の写真】"トランプ氏優勢”の報に即反応…円安が加速した投票日当日の 対ドル相場(写真2枚) 今回の大統領選挙は、当初、バイデン大統領とトランプ元大統領の争いでしたが、途中でバイデン氏が候補から降り、副大統領のハリス氏が候補者としてトランプ氏と争うことになりました。ハリス氏に交代した当初は、民主党にはかなりの追い風が吹きましたが、最終的にはトランプ氏の勢いが強くなり、ギリギリの僅差になるという予想は外れ、意外にもトランプ氏があっさり勝ってしまいました。 皆さんもよくご存知のように、トランプ氏の性格は気まぐれですから、主張する内容がコロコロ変わることが珍しくありません。したがって来年、大統領に就任した後、実際にどのような政策を繰り出してくるのか予想しにくい面があります。 しかしながら、トランプ氏が選挙中に掲げてきた公約の中で、関税に関する公約と移民排除に関する公約は高い確率で実施されると見る専門家が多いようです。 トランプ氏は中国からの輸入に対して60%もの高関税をかけるとともに、それ以外の国からの輸入についても10%の関税をかけると主張しています。トランプ氏は敵視する中国はもちろんのこと、日本やドイツなど友好国に対しても、「同盟国は敵対国よりもひどい形で我々を利用してきた」と、選挙中とはいえかなり激しい口調で批判しています。 日本などからの輸入に10%の関税をかけるということは、日本製品をアメリカ国内で売れにくくすることとイコールですから、まずは日本の輸出産業に影響が及ぶことが懸念されます。 もし、この関税が実際に施行された場合、日本からの輸出は大きく減る可能性がありますから、日本企業は国内で生産して米国に輸出するのをやめ、米国内に工場を移し、そこで生産する方法に切り替える可能性が高いでしょう。そうなると、日本企業の業績自体は何とか維持されますが、日本国内にあった工場が米国に出て行ってしまいますから、雇用が失われたり、工場に付随した仕事が消滅することになります。 一連の政策は、外国企業が米国内でお金儲けすることは「ケシカラン」という考え方に由来しており、トランプ氏は外国企業を排除し、米国の労働者に仕事を回すと主張することで多くの票を獲得しました。しかしながら、現実問題として日本やドイツなどからの輸入にまで関税をかけた場合、米国の物価がさらに上昇する可能性が高くなります。
加谷 珪一