屋敷林アロマ商品化 剪定の枝葉から精油 砺波の散居村ブランド発信
砺波市内の屋敷林(カイニョ)を剪定(せんてい)した際に出た枝葉から抽出したアロマ精油が年度内に商品化されることになった。砺波が誇る散居村の美しい景観を守る活動から生み出されたアロマで、樹木特有の滋味深い香りが特徴。自然豊かなカイニョの魅力が詰まった散居村のブランドとして全国に発信する。 商品化されるのは、2022年秋と23年春の剪定枝リサイクル大作戦に合わせ、砺波市内の高齢者宅の屋敷林で剪定したクロマツやラカンマキなどの葉から抽出したアロマ精油。22年秋産70ミリリットル、23年春産176ミリリットルの精油をアロマミストとして発売を予定する。 ●地域連携DMO、年度内に 観光を軸に地域振興に取り組む地域連携DMO(観光地域づくり推進法人)の富山県西部観光社「水と匠」(高岡市)と、精油メーカー「プロジェクトデザイン」(滑川市)のアロマ事業を担うアロマセレクト(上市町)が、高齢者宅の屋敷林の剪定ボランティアを行う「カイニョお手入れ支援隊」(砺波市)と連携し、準備を進めている。 剪定した枝葉を細かく粉砕したチップを水蒸気で蒸して精油と水に分離して抽出する。カイニョにはさまざまな樹種があり、同じ樹種でもカイニョごとやその年によっても香り成分が異なるとされ、針葉樹は精油した後に時間がたつと深みが増して樹木独特の香りを楽しめるという。 アロマセレクトは10月28日にカイニョお手入れ支援隊が砺波市内の高齢者宅で剪定した高野槇を中心に杉やローリエ、キンモクセイなどの枝葉約60キロから精油を抽出する予定で、抽出量は300ミリリットルを見込む。 水と匠は「プロジェクトは22年秋から実際に動き出し、年度内のオリジナルアロマスプレー発売を目指している。散居村のカイニョの香りをお届けしたい」としている。 アロマセレクトは売り上げの一部をカイニョお手入れ支援隊の活動資金に充てる考えで、福井千寿子マネジャーは「本物の樹木の香りを楽しみ、美しい屋敷林を守る活動を知ってもらうきっかけにしてほしい」と話した。 カイニョお手入れ支援隊の松田憲隊長は「資源として利用できれば、剪定枝の回収費を捻出できるようになる。いろいろと組み合わせれば、形は違っても昔のように有効活用できる」とし、剪定枝の精油や堆肥、バイオなどへの資源化に期待した。