(左)ヴァイオレット・ビーン／「DEATH ＆ DETAIL 事実は語る」は、ディズニープラスのスターで配信中

世界的セレブの華やかな世界を舞台に、豪華に修復された地中海客船で密室ミステリーの容疑者となってしまった若い女性を描いたミステリードラマシリーズ「DEATH ＆ DETAIL 事実は語る」が1月16日から配信中だ。主人公のイモジェン・スコットは、“腕時計を叩き壊す”という目的のためにある男性客の部屋に忍び込み、その目的をやり遂げる。しかし、その男性客はその後殺害されてしまい、その部屋に入った証拠を残してしまったイモジェンは容疑者になってしまう。今回は金髪ボブヘア姿も印象的でキュートなイモジェンを演じるヴァイオレット・ビーンについて紹介する。 【動画】ブロンド美女が殺人事件に巻き込まれる…！一気に引き込まれるミステリー ■容疑を晴らすため名探偵と手を組む 期せずして事件の容疑者になってしまったイモジェン。彼女が容疑を晴らすためには、船に乗り合わせていた世界一の名探偵の呼び声も高いルーファス・コーツワース(マンディ・パティンキン)の手を借りる必要があったが、イモジェンとルーファスには因縁があり、それが最初の大きなネックに。因縁というのは、イモジェンは幼い頃に母を亡くしており、それが何者かの策略によるものだったということで、ルーファスがその犯人を追っていた。しかし、犯人を見つけられないまま、ルーファスはイモジェンの前から姿を消してしまったことで、不信感を通り越して、軽蔑する対象となってしまった。 だが、ルーファスの話を聞いてみると、母親を殺した犯人を捜すのを諦めたわけではなく、今も継続していることが分かり、ルーファスの見方が変わり始める。乗客全員が疑わしく、誰が本当のことを言っていて、誰がうそを言っているのか、予想もできない展開に…というのが今作の物語だ。 そんな今作でイモジェンを演じるヴァイオレットは、1996年5月15日にアメリカ・フロリダ州セントピーターズバーグで生まれ、現在27歳。話題作でいえば、2015年に放送されたテレビドラマ「LEFTOVERS／残された世界」のシーズン2に出演した。世界の人口の2%が突如消えるという“事件”が発生するが、テキサスのジャーデンという街は失踪者が出ず、奇跡の街として観光地化。多くの人が訪れるようになったが、ある夜、大きな地震が発生し、3人の少女が姿を消す。ヴァイオレットはその消えた少女の1人、テイラー役を務めている。新たな事件・現象のきっかけとなる重要人物の1人でもあり、印象に残る演技を見せてくれている。 そんなヴァイオレットの存在が注目されるようになったのは、スーパーヒーロードラマ「THE FLASH／フラッシュ」の出演からだろう。彼女は2015年に始まったシーズン2から登場しているアース2のハリソン・ウェルズ(トム・キャバナー)の娘ジェシー・ウェルズ役で登場している。ヴィラン“ズーム”から逃れるために父親に連れられてアース1にやってきたジェシー。最終的にアース2に戻ることができるのだが、シーズン3ではフラッシュと同じような“スピードスター”の能力を持っていることが判明し、再びアース1にやってきた。キャラクター的にも個性が強く、視聴者に大きなインパクトを与えたことは間違いない。「THE FLASH／フラッシュ」と関連のある「レジェンド・オブ・トゥモロー」シリーズにもジェシー役で登場している。 2017年には、「ゲット・アウト」や「スプリット」といったホラー作品で知られる制作会社ブラムハウスによる映画「トゥルース・オア・デア ～殺人ゲーム～」にマーキー・キャメロン役で出演した。友人たちが集まった時に楽しく遊べる「トゥルース・オア・デア」というゲームがあり、ルールはゲーム中に指定された人が“真実(トゥルース)”か“挑戦(デア)”かを選択し、真実の場合は質問に正直に答え、挑戦の場合は言われた通りの行動をしなければならないというもの。しかし、ふとしたことから、ゲーム中にうそをついたり挑戦を拒絶した者は死んでしまうという“呪い”のゲームに変わってしまう…。心理的にも追い詰められるサイコホラーで、この作品では緊迫感のある演技を見せてくれている。 ■「God Friended Me」での演技も注目 もう一つ、重要な作品が。それは2018年から2020年まで米・CBSで放送されたコメディードラマ「God Friended Me(原題)」で、SNSによって結ばれた不思議な縁が描かれた作品だった。牧師の息子でありながら無神論者の青年マイルズ(ブランドン・マイケル・ホール)が主人公で、ある日、彼のFacebookに“God(神)”の名前のアカウントから友達申請が届く。無論すぐに消去したが、しつこく何度も申請してくる。根負けして承認すると、そのアカウントはジョン(クリストファー・レッドマン)という名前に変わり、顔写真のところも男性の顔に変わった。 そして目の前にその顔写真の男が現れ、追い掛けていくと、彼は地下鉄で自殺を図ろうとしていた。間一髪のところでマイルズが阻止し、そこで一つの“縁”が生まれる。すると“知り合いかも”の欄にカーラ・ブルームという女性の名前と顔写真が現れた。そのカーラを演じているのがヴァイオレット。そういうふうに、神の見えざる手なのかどうか分からないが、SNSを通して出会い、縁が生まれ、不思議な連鎖が起こっていく。文字面だけだとちょっと世にも妙な感じもするが、決してシリアスなものではなく、コメディー要素多めの心温まる物語になっている。 「LEFTOVERS／残された世界」のテイラー、「THE FLASH／フラッシュ」のジェシー、「トゥルース・オア・デア ～殺人ゲーム～」のマーキー、「God Friended Me」のカーラ、そして「DEATH ＆ DETAIL 事実は語る」のイモジェン。作品のタイプやジャンルが違っているというのもあるが、演じている役柄もそれぞれ違った個性を放っており、ヴァイオレットの演技の幅の広さ、表現の豊かさを感じさせてくれる。今作でヴァイオレットのことが気になったら、ぜひ過去作もチェックしてみてもらいたい。 「DEATH ＆ DETAIL 事実は語る」は、毎週火曜にディズニープラスのスターで配信中(全10話)。 ◆文＝田中隆信