〈詳報〉鹿児島県議会、県警の不祥事巡る百条委設置決議案を否決 自民や公明などが反対 「警察活動への議論は真摯に受け止める」と県警本部長
鹿児島県議会は9日の定例会最終本会議で、鹿児島県警の相次ぐ不祥事を巡る調査特別委員会(百条委員会)設置を求める決議案を否決した。自民と公明、無所属の1人の計37人が反対した。 【写真】百条委員会の設置決議案についての投票を見る鹿児島県警の野川明輝本部長(前列左)=9日午後、県議会
採決方法を巡り、県民連合が無記名投票を、自民が記名投票を求めた。投票方法を決める無記名投票の結果、34対16で記名投票となった。 採決前の討論では、賛成6人、反対3人の計9人が登壇。自民の本田静議員は「常任委でも参考人招致は可能」などと反対、共産の平良行雄議員は「常任委で集中的に議論しても真相究明にはほど遠い」と賛成した。 決議案否決を受け、無所属の岩重仁子議員が議会解散の動議を提案。無所属5人以外が反対し、否決した。 公明党が出していた、地方自治法100条による調査権のない特別委員会設置の動議は、公明以外の全員が反対し否決した。 決議案は野党系会派・県民連合の7人が9月24日に松里保廣議長へ提出。県警の信頼回復を目的とし、不祥事の要因や再発防止策の実効性を調査事項とした。司法権に関する事項は除くとしている。 県民連合は6月にも議会運営委員会で百条委設置を提案したが、最大会派の自民が現時点では設置しないとの判断を9月にしたことで見送られた。県民連合は今定例会代表質問での県警答弁でも真相が解明されなかったとして、決議案提出に至った。
◇野川県警本部長「真摯に受け止める」 鹿児島県警の不祥事を巡り、県議会が調査特別委員会(百条委員会)設置の決議案を否決した9日、野川明輝本部長は閉会後、報道陣の取材に「警察活動に関する決議案が論議されたことを真摯(しんし)に受け止めている」と話した。その上で「警察が信じるに値する組織であると思ってもらえるよう(再発防止対策に)取り組み続け、県民の疑念払拭につなげたい」と強調した。 野川本部長は採決の間、口を真一文字に結び表情を崩さなかった。「ほっとしているのか」の問いに、「対策が始まったばかり。県民の評価をもらうのはこれからだという気持ちで取り組んでいる」と述べた。
南日本新聞 | 鹿児島
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