北海道本島最西端に日本一危険な神社も 交通系YouTuberの「秘境旅」人気の理由を紐解く
交通系YouTuber・ZAKIが投稿した北海道本島最西端の尾花岬を訪ねる旅動画に大きな反響が集まっている。多数ある秘境を訪れる動画のなかで、ZAKIの尾花岬への旅はなぜ視聴者の支持を獲得できたのか。今回は、交通系YouTuberならではの旅動画に反響が集まる理由を紐解いてみたい。 【写真】ZAKIが挑戦した北海道本島最西端 「とんでもないところでした」 ZAKIは日本中の鉄道をはじめとする公共交通機関に関する動画を制作するYouTuberで、チャンネル登録者数は12.8万人を突破(2024年5月27日時点)。自身のチャンネルを手がける傍ら、同じく交通系YouTuberの西園寺チャンネルの編集を手がけるなど、幅広く活動する人気クリエイターだ。 5月21日に投稿した動画では、函館から北海道本島最西端の尾花岬までの道中を紹介しているZAKI。最北端の宗谷岬や最東端の納沙布岬、最南端の白神岬は知っている方も多いだろうが、尾花岬についてはあまり知られておらず、ZAKIは尾花岬を「秘境」と表現。尾花岬が知られていない理由については「たどり着くことができないから」と述べており、“到達不可能”な地とも話している。(※尾花岬は近年までは北海道最西端の場所とされてきたが、実際には北檜山区新城の舟隠エリアが最西端) ZAKIのいる函館から尾花岬までの道のりはというと、まずは函館から長万部まで特急北斗で移動すること1時間40分。長万部からは尾花岬があるせたな町まで函館バスで1時間半、北桧山ターミナルに到着すると、バスを乗り継ぎ終点へ。なんとここから尾花岬まで6キロの距離を歩くこと約1時間。日本海をのぞみながら道を突き進み、函館を出発して6時間半ほどで、ZAKIはようやく日本海に浮かぶ尾花岬を視界に捉えた。尾花岬はZAKIのいる場所からまだ何キロも先にあるのだが、実は尾花岬は道道770号、北檜山大成線を通る「太田トンネル」の通過点にあり、尾花岬に通ずる道はなし。ZAKIの「たどり着くことができない」という言葉には、まさかの“道がない”という、驚きの理由が隠されていたのだ。 今回のZAKIの旅は、太田トンネルの手前にある“日本一危険な神社”こと太田神社も目的地のひとつ。太田神社の本殿は断崖絶壁にあり、本殿に続く階段は急勾配なうえ、途中から踏み面が狭くなっており、ZAKIのスニーカーの半分ほどがはみ出ている。さらに先に進むと、やがて階段もなくなり、山登り状態に。カメラ片手に登ることは難しく、ZAKIは「これはアカン。ムリムリ」とリタイアしている。6キロの徒歩と山登りで疲労困憊のZAKIは、予約制のバスと路線バスを使って北桧山バスターミナルまで戻るが、この日はすでに長万部に行くバスが終わっていたため、旅はここで終了。「とんでもないところでした」と感想を述べつつ、「いい景色を見るというのは過程が大事」と締め括っている。 秘境を訪ねる動画はYouTube上にも多くあるが、秘境というだけあって公共交通機関を使って旅する動画は少ない。今回の動画には、自動車免許を所持しているZAKIが公共交通機関で目的地に向かう様子に、「北海道本土最西端に公共交通だけで行くのはZAKIさんらしい」「歩いたからこそ味わえる感動」「達成感があり楽しかった」と反響が寄せられており、目的地到達までの過程に注目が集まったと考えられる。さらにあまり知られていない、かつなかなか行けない秘境という場所選びもまた反響の理由のひとつとなっている模様。貴重な絶景に、「貴重な映像ありがとうございます」というコメントが多く寄せられている。体当たりで挑んだ交通系YouTuberならではの大冒険動画は、旅動画のなかでも異彩を放つ、貴重なコンテンツといえるだろう。 なおこの時期の北海道はたびたび熊出没のニュースが報じられることから、熊撃退用のスプレーを携帯する、ひとりでの行動は避けるなど対策が必要だ。本動画を参考に旅行される方は、安全面に重々注意して旅を楽しんでいただきたい。
せきぐちゆみ