ドラマ「あなたの番です」が異例2クールで残したもの
謎解き・真犯人探しでネット上も視聴者、タレント、メディアが入り乱れて盛り上がったドラマ「あなたの番です-反撃編-」(日本テレビ系、日曜午後10時30分)が8日、終わった。日テレでは25年ぶり、異例といえる2クール全20話に渡る長丁場の連ドラとなったが、約半年間、最後まで話題には事欠かなかった。最終話でもなお謎を残した同作だが、謎だけではなく、さまざまなプラス要素も残した。
演技の幅の広さでドラマ引っ張った田中圭
翔太を演じた田中圭は、1クール目と2クール目反撃編での豹変ぶりで、あらためて演技力の幅の広さを見せた。天真爛漫で、年上女房の菜奈(原田知世)に甘えるほのぼのキャラだった翔太が、その最愛の菜奈を失って悲しみの底から犯人への憎悪にかられ真相究明へと乗り出していく姿は、1クール目と2クール目に絶妙なコントラストをつけて物語全体を引っ張っていった。 「ああいう切り替えというのは下手な役者がやると、ともすれば二重人格的な豹変ぶりを表現するだけにとどまってしまいます。田中はそれを、もともとの翔太が持っていた愛されるべき純真な面をちゃんと多々残しながらも、妻を失った復讐心に燃えていく様を見事なバランスで演じていたと思います」と話すのは、民放放送局の40代男性プロデューサー。
ミキサー主婦、怖すぎる死体、実力派キャストがインパクト
また、どこか変わった人物の多いマンション住民だが、それを演じるキャストたちにも前半から注目が集まり続けた。 黒島沙和役の西野七瀬も、最後の最後まで存在感をきっちり残した。アイドル出身女優も多く活躍する芸能界だが、今作はステップアップの好機になったのではないか。 また、美しい顔をゆがめ目をむきだす怪演ぶりで“ミキサー主婦”の異名をとった木村多江や、後半から本格投入され物語の重要人物として注目を集めた筧美和子、冷凍室に動物の肉と一緒に吊るされた“怖すぎる死体”姿がインパクトを残した片岡礼子、何を考えているかわからない不気味さをかもし出していた安藤政信や田中哲司など、オールスターともいえる豪華な共演陣が要所要所でドラマを盛り上げた。 俳優の袴田吉彦に似ていることがコンプレックスだった久住譲役を袴田吉彦本人が演じ、随所に“袴田吉彦ネタ”を取り入れて笑わせたことなど、演出に好みは分かれるだろうが、長丁場のドラマの中ではスパイスの一つとなったといえるだろう。 刑事役の皆川猿時や浅香航大、そして生瀬勝久、田中要次など、一人ひとり名前をあげたらキリがないが、助演に実力派俳優をキャスティングしてしっかり芝居を固めたのもドラマ成功の大きな要因と思われる。