「みどりの窓口」の混乱はなぜ続くのか ややこしすぎる「チケットレス」システム…だったら「紙の切符でいい」
都内の窓口に長蛇の列
対面で切符を販売するJRの「みどりの窓口」をめぐり、混乱が続いている。お盆を前に都内の窓口では、どこも長蛇の列ができている。インバウンド需要で外国人も列に加わり、2時間待ちなんてこともざらにある。こうした“難民”にならないために、どうすればいいのか。 【写真】実録!「みどりの窓口」の代わりに登場した「話せる指定席券売機」を実際に触ってみてわかった意外な事実 ***
鉄道に詳しいライターがこう解説する。 「今、利用者の間で二極化が起きています。旅慣れしている人などは、チケットレスの仕組みをうまく活用できています。しかし、チケットレスにうまく対応できない人は、駅に行って切符を買います。ここ数年、鉄道会社はチケットレス化を進めてきましたが、うまく移行できていない印象です」 JR東日本がチケットレス化を進めるため、「みどりの窓口」の削減計画を発表したのは、コロナ禍だった2021年5月のこと。25年までに、約7割の窓口を減らす予定だった。人件費削減や窓口業務の効率化などが目的だ。 だが、予約サイトの乱立などもあって、思ったようにチケットレス化は進まなかった。 「ネットのシステムには、いまだに課題が残っています。例えば、仙台から名古屋まで、新幹線で行こうとした場合、JR東日本の東北新幹線とJR東海の東海道新幹線の2線を使う形になります。予約だけは全区間をJR東日本の『えきねっと』でできますが、実際に乗車するときは、全区間を紙の発券にして乗るか、東北新幹線区間だけをモバイルで利用するかしなければなりません。 各JRでシステムが一本化されていないので、こういったことが起こるのです」(前出のライター) チケットレス化が進まない中、コロナ禍があけ国内の旅行者が増えていった。インバウンド需要で外国人観光客も急増。数を減らしている「みどりの窓口」に人が押し寄せた。長い時間並んだことからいら立つ乗客、言葉が通じない外国人、カスハラにより心を痛めるJR社員……今、あちこちで混乱が起きている。