日本ダービーで注目すべき「皐月賞未出走馬」。魅力は“トップスピードの持続力”
ウオッカ以来の偉業達成なるか!?/レガレイラ
1984年のグレード制導入以降、日本ダービーに牝馬が参戦したのはこれまで4回。2007年にウオッカが1着となりましたが、残り3頭は全て人気以下の着順に敗れています。やはり牝馬にとって2400mは非常にタフな舞台であり、難しいチャレンジであることは間違いありません。しかし、レガレイラはウオッカ以来の偉業を成し遂げられるだけの資質を有していると考えています。 新馬戦は洋芝で直線が短く速い上がりを出しづらい函館競馬場でしたが、上がり2ハロン22.9秒のトップスピード勝負を差し切り。函館競馬場芝1800m以上で上がり2ハロンが22.9秒以下となったのは歴代でも33件しか少なく、その中で上がり3ハロン34.4秒以下を記録した勝利した馬は15頭しかいません。そして、2歳馬で唯一該当するのがレガレイラなのです。 さらに2歳の中距離路線ナンバー1を決めるホープフルSでは、牝馬ながら果敢に挑戦して見事勝利。デビューからスローペースしか経験していないにも関わらず、G1昇格後2番目に速い前半5ハロン60.0秒のハイペースに難なく対応。不利と言われる牡馬相手の中距離戦で勝利する偉業を成し遂げました。 皐月賞は急遽の乗り替わりもあり、6着に敗れてしまいましたが上がり3ハロンはメンバー最速となる33.9秒を記録。ジャスティンミラノとも0.5秒差ならまだ見限れません。
最後の切符を掴んだ良血馬が逆襲へ/ダノンエアズロック
最後の注目馬はダノンエアズロック。実は以前執筆した弥生賞の記事でも取り上げていました。その内容と重複しますが、同馬の持ち味はトップスピードの持続力にあります。 アイビーSで記録された上がり4ハロンは45.1秒。時計の出やすい新潟競馬場を除いて、2歳戦の芝1800m以上のレースで上がり4ハロン45.4秒以下が記録されたレースはディープインパクトの新馬戦、ジオグリフの新馬戦、そしてダノンエアズロックのアイビーSと歴代遡ってもわずか3件しかありません。 そしてこの3つの中で最も速いのがダノンエアズロックなのです。このレースでダノンエアズロック自身はメンバー最速タイの上がり3ハロン32.7秒を記録しています。ちなみに、この時3着だったのが先ほど取り上げたレガレイラでした。 こうした点から弥生賞で注目していましたが、結果は、レース後に判明した骨折の影響もあったのか7着に敗戦。しかし、わずか2か月で回復して挑んだプリンシパルSを完勝。同レースで上がり5ハロン58.0秒以下を記録したのは歴代遡っても今年だけ。長く脚を使う流れで上がり3ハロン33.4秒を記録しており、前述した通りトップスピードの持続力はやはり世代トップ級と見てよさそうです。 今回は3頭の注目馬をピックアップしましたが、3頭以外にも魅力ある馬が多く揃っているのが今年の日本ダービー。競馬に携わる人間として、競馬の祭典をぜひ楽しんでいただけると嬉しいです。 文/安井涼太 【安井涼太】 各種メディアで活躍中の競馬予想家。新刊『安井式上がりXハロン攻略法(秀和システム)』が11月15日に発売された。『競走馬の適性を5つに分けて激走を見抜く! 脚質ギアファイブ(ガイドワークス)』『超穴馬の激走を見抜く! 追走力必勝法(秀和システム)』、『安井式ラップキャラ(ベストセラーズ)』など多数の書籍を執筆。
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