水俣病の健康調査、試験実施 25年度に少人数で、環境省
環境省は、2026年度開始を目指す水俣病の被害地域の住民健康調査について、25年度に少人数を対象にした試験的調査を実施する方針を固めた。離島の被害者が島外の医療機関に通院した場合に給付される「離島手当」も増額する。これらを含む水俣病に関する医療・福祉や研究推進の費用として、25年度予算の概算要求に17億円を盛り込む。関係者への取材で22日、分かった。 発言遮断問題を受け、伊藤信太郎環境相は7月、熊本県水俣市や鹿児島県長島町の獅子島などで被害者らと再懇談。環境省側は健康調査の2年以内の開始や離島手当の見直しの方針を表明していた。 水俣病は公式確認から70年近くがたつが、被害の全容は明らかになっておらず、09年施行の水俣病特別措置法が定めた被害地域の住民健康調査も行われていない。 環境省の研究班はMRIや脳磁計を用いた健康調査の在り方を検討している。環境省は試験的調査で課題などを整理し、本格実施につなげたい考えだ。