〈奥能登豪雨〉池田さんの妻「あと10センチやったんに」 濁流の夫に伸ばした手、届かず
行方不明の池田幸雄さん(70)とみられる遺体が25日、自宅付近の海岸にある岩場で見つかり、妻真里子さん(68)は悲嘆に暮れた。夫婦は避難のため自宅を出た直後、濁流にのまれた。自力で岸に戻った真里子さんは「お父さんを助けようと手を伸ばしたけど、届かんかった。もうあと10センチやったんに」と悔やんだ。 池田さん夫婦は長男と3人暮らし。真浦海岸沿いで50年以上続く旅館「海楽荘」を営んでいる。21日午前10時ごろ、旅館のそばを流れる垂水川の水があふれ、真里子さんの眼前で幸雄さんは沖に流された。真里子さんは毎日海岸に出て、幸雄さんを探し続けたが再会はかなわなかった。 ●元日半壊の旅館再開へ奮闘中 元日の地震で半壊した旅館は、幸雄さんの奮闘で10月から入浴の再開を目指していたものの、今回の豪雨で1階に大量の土砂が流入した。真里子さんは「また2人で頑張ろうとしていたのに。建物が壊れて、お父さんもいなくなってこれからどうすればいいのか」とうなだれた。