亡くなった母の荷物から封筒に入った「遺言書」を発見しました。遺産分割は終わっていますが、この遺言書の扱いはどうなりますか?
相続が発生すると、葬儀や届出などやるべきことに追われ、悲しみのなかでも手続きを進めなければなりません。遺産分割が終わり、やっと落ち着いて故人の荷物を整理していたら、思いがけず「遺言書」が見つかるといったケースも散見されます。 この場合、発見された「遺言書」はどう扱えばよいのでしょうか。影響や対応について、ケースごとに考えてみましょう。
遺言書は、故人の最期の意思表示
自分の亡き後、財産を「誰に」「どのように」引き継いでほしいかといった想いを確実に伝えるために遺すのが「遺言書」です。せっかく書いても、適切なときに見つからず、後になって発見され、相続人が戸惑うケースも存在します。 相続が発生すると、自治体に死亡届の提出をしなければなりません。届出を行うことで戸籍に反映され、反映された戸籍謄本をもとに、誰が相続人であるかを確定します。 配偶者や子がいる場合には、「調べるまでもない」と思いがちですが、相続人であることを確実に証明するためにも必要な手続きです。そして、すべての相続人の合意のもと、相続財産(故人の財産)を引き継ぐ手続きを行います。ただし、遺言書がある場合には、こうした相続人確定を経ずに、その内容に従って相続財産の分割を行うことができます。
遺言書がない場合には、遺産分割協議を行い、分割する
遺言書がない場合には、すべての相続人が集まり、遺産分割協議を行います。法律で定められた分割割合によって分割することも、話し合いによって分割することも、すべての相続人の合意が得られればいずれも可能です。協議の内容を「遺産分割協議書」に記載のうえ、全員の署名と捺印をします。 相続税が発生する場合には、期限内に「遺産分割協議書」とともに申告・納付を行わなければなりません。また、相続人は、協議によって受け取ることになった被相続人(故人)名義の銀行預金の引出しや名義変更、不動産の登記をする際にも「遺産分割協議書」が必要です。 故人が遺した財産の内容や家族構成、それぞれの関係性にもよりますが、お互いの損得勘定が交錯すると、長期化したり揉めることがあります。遺産分割協議で疲弊するといった事例も散見されます。