「外国人を客に取る」「喫煙者は狙い目」復活した大久保公園の立ちんぼが明かす“最新の摘発対策”
街灯の光に照らされ、ガードレールに寄りかかりながらスマホをいじる女性、女性、女性。4月、公園の一角には所狭しと20人ほどの女の子が立ち並んでいた――。 【画像】パトカーや警備員が巡回する横で…大久保公園の立ちんぼたち「客引きの現場」写真 新宿・歌舞伎町の大久保公園では今、路上で売春相手を待つ「立ちんぼ」が再び増えている。警視庁は昨年、1年をかけて摘発を強化。’22年が51人だったのに対し、昨年は140人以上が逮捕された。そのせいか、昨年末には通りに立つ女の子たちはめっきり少なくなった。しかし、喉元過ぎれば……なのだろう。街に立つ女の子たちは、彼女たちなりの「対策」を練って路上での金稼ぎを続けている。 「捕まったら? しょうがないよね。警察って他にやることないの、と思うけど」 と、話すのは、ゴスロリ風の白黒の服を着て立つ26歳だ。昨年11月におとり捜査で捕まり、10日間ほど警察の留置場に入れられた。泣きながら「もうしません」と言って出てきたが、年が明けてまた立ち始めた。 「だって稼がないと生きていけないじゃん。うちらとかホストとか捕まえても何も変わんないって。さすがにまたすぐ捕まるわけにいかないから、気をつけて客選びの対策はしてる」 生きるためにと言うが、月100万円近い稼ぎの大半はホストクラブに消える。そんな彼女が取った警察対策は「外国人客」だ。 「絶対警官じゃないもん。外国人の刑事なんて見たことない。言葉もよくわかんないし、トラブルも多いから正直嫌だったけど、そう言ってらんないじゃん。グループで来る外国人観光客も増えてて、金払いも前ほど悪くない」 この日も片言の日本語で話しかけてきた中国人の男性と「ホ別2(ホテル代とは別に2万円)」でホテルに行ったという。コロナ禍が明けて海外からの客足が戻り、観光スポットとして人気の歌舞伎町には、中国や欧米からの観光客があふれている。「売春エリア」と紹介する海外向けのサイトもあり、「日本人の女の子を抱きたい」と訪れる外国人は少なくない。 「アジア系はおとなしめの人が多くて怖くないし、言葉が通じない分、余計なおしゃべりも少ない。行けば2万はくれるし、値切ってくる日本のおっさんより100倍いい」と言い、スマホには翻訳アプリまで入れたという。 外国人狙いとは別の対策を力説するのは、立ちんぼ歴4年という22歳だ。彼女もまた、過去に警察に捕まったことがある。 「2度目に捕まったら今度こそ実家に電話されるかもしれないし、(留置期間が)延びればアパートだって追い出されかねない。絶対刑事じゃないやつの特徴ってあるから、そういうやつだけ客にするようにしてる」 彼女が言う特徴は「サンダル履き」「くわえタバコ」「おじいちゃん」だ。 「82歳とホテルに行ったこともある。おじいちゃんって安心なんだよね。いざとなったら逃げ切れそうだし」 警察による逮捕は、ほとんどが客を装った捜査員によるものだ。客がついたと思って一緒に向かったホテルの入り口で警察手帳を出される事態を避けるには、客と捜査員を見分ける必要がある。 「誰もいかにも刑事なんて格好はしてないけど、さすがにサンダル履きと路上喫煙はいないよ。そういうやつとは安心してホテル行ける」 とこの女性は言う。売春目的の女性たちが戻ってきた理由は、警察の捜査が一頃の過熱状態から落ち着いたことにもある。 「歌舞伎町の立ちんぼが社会問題になった昨年夏ごろから、警視庁は集中的な取り締まりをして1年間で140人を逮捕しました。一昨年に比べると3倍に近い数です。女の子たちは一時、一斉に姿を消しました。しかし、警察も今は『トクリュウ(匿名・流動型犯罪グループ)』と呼ばれる半グレ集団やスカウト集団の捜査に注力しています。トー横広場では春休みに合わせた一斉補導がありましたが、売春の方は一段落したのでは」(全国紙社会部記者) 年末には路上でほとんど姿を見なくなった女性は3月頃から再び急増。以前はいなかった大久保公園から1ブロック隣の歩道まであふれるようになっている。取り締まりが弱まり、女の子たちも対策に余念がなくなった。当分、歌舞伎町から立ちんぼの姿が消えることはさそうだ。
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