能登に届け、美川の熱気 おかえり祭り、台車全13台練る
●輪島の和太鼓チーム盛り上げ 白山市美川南町の藤塚神社の春季例大祭で県無形民俗文化財の「おかえり祭り」は18日、2日間の日程で開幕した。初日の「神幸祭(じんこうさい)」では、きらびやかな台車(だいぐるま)全13台が2年ぶりに出そろって神輿(みこし)とともに練り、北前船で栄えた港町を熱気で包んだ。輪島の和太鼓チームや能登の神職も加わり、能登半島地震の復興に願いを込めた。 【写真】力強い演奏を披露する「輪島祭り太鼓」 昨年の前夜祭で横転して壊れ、巡行を取りやめた美川今町の台車が復活。邪気を吸い取るとされる霊木の桜を乗せ、練り歩いた。祭りでは常に13台の先頭で、今町の台車が姿を見せると、住民からは「やっぱり今町が先頭でないと」と喜びの声が聞かれた。事故を受け、今年から全ての台車に転倒防止の安全棒が取り付けられた。 ●初の子ども旗手堂々 祭りに参加する子どもが増えたことから、見せ場をつくろうと、今年はIR美川駅前交差点でのパフォーマンス時間を例年より長くした。子どもラッパには、ラッパ手と並ぶ花形の旗手も初めて加わり、美川地域3小学校の児童20人が躍動的な旗振りと高らかなラッパの音を披露し、見物人を魅了した。 旗手を務めた伊豆野杏里さん(美川小6年)は「たくさんの人に見てもらえてうれしかった」と充実した表情で、初めて子どもラッパに参加した福島ここあさん(同)は「高い音をきれいに出せてよかった」と話した。美川浜町の御旅所付近では、中学生による演奏も行われた。 輪島の子どもたちでつくる「輪島祭り太鼓」も華を添えた。祭りを通じて能登の復興を応援しようと、藤塚神社の藤基辰正宮司が出演を依頼。元日の地震後、久しぶりに集まったメンバー12人がキリコ道中太鼓やとまり太鼓で力強い演奏を繰り広げた。北島麻央さん(輪島市鳳至小4年)は「思いっきり太鼓がたたけて楽しかった」と笑顔を見せた。 ●被災地の神職奉仕 藤基宮司が懇意にする輪島、能登、七尾、羽咋の4市町で被災した神職4人も神輿の巡行を支えたほか、能登を応援する祭り限定の御朱印が販売された。IR美川駅前では青年団による募金活動も行われた。 最終日の19日は「還幸祭(かんこうさい)」として、神輿が今年の「おかえり筋」である美川浜町を通って藤塚神社へ戻る。 ●姉妹で初のラッパ手「最高」 浜町の白崎、北村さん 祭りの担い手不足を受け、今年も女性がラッパ手や神輿担ぎで活躍し、祭りを盛り上げた。 ラッパ手のOBでつくる「ラッパ手会」には、白崎志歩さん(33)=美川浜町=と妹の北村秀佳さん(29)=同=の姉妹が初めて加わり、神様が宿るとされる「神籬(ひもろぎ)」のおたちでラッパを吹き鳴らした。 幼い頃からラッパ手に強く憧れていたという2人は、4月からほぼ毎日練習に励んできた。白崎さんは「最高の一言です」と笑顔を見せ、北村さんは「夢がかなってうれしい」と話した。 今年は神輿の担ぎ手にも新たに女性3人が参加した。