J1福岡の「村神様」が惜しむ2人の〝恩師〟 長谷部監督と「誰よりも妥協しなかった」J2のレジェンド
J1アビスパ福岡のGK村上昌謙(32)が、今季限りで区切りをつける恩師2人の思い出を語った。 ■勝利の女神がチャント熱唱【写真】 一人は今期で福岡の監督を退任する長谷部茂利監督(53)。村上はJ2山口から水戸に期限付き移籍した2019年に初めて指導を受け、20年からは福岡で師事。J1通算108試合に出場し、サポーターから「村神様」と頼られる存在に成長した。「シゲさん(長谷部監督)は選手に対してリスペクトがあり、普段試合に出られなくても最後まで練習を見てくれる。今までの監督も信頼してきたけど、より信頼を感じた」。全体練習後、最後まで居残りで練習しているGK陣を遠くから見守り、公平な目で次戦のスタメンを決める指揮官に感謝した。 もう一人は、その水戸で1年間一緒に練習し、今季47歳で引退を表明した大ベテランのGK本間幸司だ。19年は村上が6試合出場にとどまり、本間は出場機会がなかった。それでも村上は「誰よりも妥協しなかった」と練習での姿勢に学ぶものが多かった。「練習から失点に対する思いや、シュートを止める気迫、ボールをつかみ取る執念が強かった。そこは見習いたいと思ったし、見習わないといけない部分だなと思った」。試合に出られなくてもチームのためにサポートする姿勢も村上は手本とし、控えメンバーのときはベンチから味方に声をかけ、鼓舞している。 浦和でプロ入りした本間は1999年に当時日本フットボールリーグ(JFL)の水戸に移籍してから水戸一筋。念願のJ1昇格は果たせなかったものの、J2で歴代最多の577試合に出場した。 J1・J2通算で計154試合のゴールを守っている村上は「(本間)幸司さんの年齢までやるなら、あと15年か…。そう思うと、情熱を含めてすごい。僕も近づけるように頑張りたい」と息の長い活躍を誓う。 9日のC大阪戦で永石拓海が前半終了間際に負傷し、村上が6試合ぶりに出場。「浮足立つことなく、自分のやるべきことをやろうと思って入った。(逆光の)日差しも気にかけつつ、チームを落ち着かせようと思って入った」と冷静にゴールマウスを守った。30日の浦和戦はホーム最終戦となるが、平常心で臨む姿勢は変わらない。「一歩一歩重ねていくのが一番。誰が出るか分からないので、GK陣全員で準備していく」。長谷部監督や本間らから学んできた姿勢を貫き、GK陣をけん引していく。(末継智章)
西日本新聞社