新車購入時、「欲しいクルマ」「高く売れるクルマ」どちらを選ぶべきか? 人気中古車高騰のいま考える
「資産」としてのクルマ
新車を購入する際、最も一般的な消費者行動のひとつは、リセールバリュー(再販価値)をチェックすることである。クルマの購入が単なる「実用品」の購入ではなく、「資産」の購入であることを考えれば当然だ。 【画像】えっ…! これが60年前の「蓮田SA」です(計18枚) 購入動機はさまざまである。もちろん、基本的なものは 「好きなクルマ、欲しいクルマを買う」 である。 しかし、好きなクルマであっても、廃車になるまで乗り続けるケースは少ない。いつかは次のクルマに乗り換える。そのとき、その時点で所有しているクルマを下取りに出すか売却して、その資金を次のクルマの購入資金の一部にする。 その場合、下取り価格は低いより高いほうがいい。クルマは気に入っているが、下取り価格が何となく低い。つまり、リセールバリューの低さが多くの消費者の悩みの種になっている。
生産鈍化の影響
そんななか、最近の消費者行動として、気に入ったクルマよりも、あえてその時点で 「リセールバリューの高いクルマ」 を選ぶという話をよく耳にする。これはどういうことなのか。新車購入時にリセールバリューを重視する消費者が出てきた理由は何なのか。 そのきっかけは、近年大きな問題となっている新車の供給不足や供給遅れにある。 ・COVID-19のパンデミック(世界的大流行) ・ウクライナ紛争 ・自動車メーカーによるデータ改ざん など、さまざまな問題によって生じた事例である。 新車の生産が鈍化したことで、すでに生産されたモデルのなかでも高年式かつ走行距離が少ない中古車の価格が高騰した。特に、 ・人気のあるボディカラーのモデル ・人気のあるオプション装備を装着したモデル にその傾向が強かった。 現在、こうした生産遅れはほぼ解消されたといわれているが、それでも人気車種には注文が殺到している。その結果、市場には品薄状態が続いている。
消費者行動の正当性
中古車市場で業者が買い取った中古車の価格はどれくらい高騰しているのだろうか。具体的な数字については、いくつかの実例が報告されている。 なかでも印象的なのは、トヨタ・アルファードの現行モデルの人気グレードで、登録1年未満、走行距離5000km以下の平均買い取り価格が新車価格の 「175%」 というものだ。このほかにも、現在登録から1年未満で走行距離が少なければ、買い取り価格よりも高く売れるクルマはたくさんある。 そうしたクルマをたまたま購入し、どこかのタイミングでその買い取り価格を知った場合、基本的にリスクゼロで利幅を確保することにためらう人は少ないだろう。 そして、一度そのようなおいしい買い物を味わった人の相当数が、次の買い物にできるだけリセールバリューの高いクルマを選ぶ可能性が高い。これは消費者として正しい行動だ。