菊池風磨“饗庭”の過去一悲しい「公務員なめないでください」に「胸が痛い」の声<ゼイチョー>
菊池風磨が主演のドラマ「ゼイチョー~『払えない』にはわけがある~」(毎週土曜夜10:00-10:54、日本テレビ系/Huluにて配信)が、12月9日に第8話を放送。徴税禁止リストを追う第三係に潜む“裏切者”が突き止められ、悲しい事情が明かされた。SNSでも「優しさにつけこまれたのか…胸が痛い」「第三係、今回のことでより団結力が増したように見えるな」と、さまざまな反応が寄せられている。(以下、ネタバレを含みます) 【写真】クラブでレインボーヘッドになって騒ぎまくるパリピ・饗庭 ■「ゼイチョー~『払えない』にはわけがある~」とは 同ドラマは「BE・LOVE」(講談社)にて、2016年4号から2017年6号まで連載されていた「ゼイチョー!~納税課第三収納係~」が原作。“徴税吏員”が滞納されている税金を徴収するべく奮闘する物語で、著者である慎結が市役所で非正規職員として働いていた経験を基に描かれている。 ノリは軽いが優れたスキルを持った徴税吏員・饗庭蒼一郎を演じるのは菊池。そして、蒼一郎と正反対、真面目に滞納者と向き合う猪突猛進タイプの新人徴税吏員・百目鬼華子役は山田杏奈が務める。 ■“税金を払わなくて済む裏技”ギャルがこぼした一言が転機に 徴税強化体制の一環として、若年層への徴収と納税意識の啓発へ力を入れることになった徴税課。饗庭と華子は、住民税を滞納している19歳のギャル風女子大学生・星野芽依(今井アンジェリカ)から滞納金を徴収するため臨宅をすることに。 彼女のアルバイト先に訪れて滞納金に関する説明を終えた後、彼女の口から意外な言葉が飛び出た。「てかさ、わざわざ店まで来たなら、払わなくて済む秘密の裏技教えてよ」。話を聞くと、星野の友達に“秘密の裏技”を使って税金を払わずに済んだ人物がいるようだ。 饗庭と華子が聞き出したところによると、星野のアルバイト先であるクラブは清掃を会社に委託しているという。そして、その清掃会社に中学校で星野の同級生だった若月大輝(浦上晟周)という青年がアルバイトをしている。彼と星野はよく顔を合わせる程度の仲だったのだが、ある日若月がクラブの駐車場でスーツ姿の男性と話す姿を目撃した。その男性の顔はよく見えなかったが、「みゆきの市」と書かれた車に乗り込み去っていった。 たまたま通りかかった星野が若月になにを話していたのか尋ねると、滞納している税金のことで徴税吏員と話していたそう。徴税吏員とは税金の取り立てをする人と教わった星野は「なにそれ!ヤバくない?」と驚いたが、若月は「いや、なんか俺もう払う必要なくなったらしい。あの人がなんとかしてくれたんだ」と言葉少なに語ったというのだ。 星野から聞いた話を第三係に共有する饗庭と華子。もちろん疑問として持ち上がるのは、“税金を払わなくて済む裏技”の存在と若月の納税を回避させた当時の担当者が誰なのかだ。記録によれば担当者は加茂原健介(鈴木もぐら)なのだが、当人は若月の担当をした覚えがないらしい。ただ、饗庭はこれを真犯人によるカモフラージュと見た。星野は若月と話していた男性を見ているため、大柄な加茂原であれば記憶に残っているはずという推理だ。もちろん実際に若月本人へ聞いても答えてはもらえず、手詰まり状態に。 “真犯人”について、第三係のメンバーが推理をするも真相は謎のまま。饗庭と華子は手当たり次第業務記録を調べて、“真犯人”を突き止めることにした。 ■「目の前の誰かを救う」ためならば、不正は許されるのか 過去の業務記録を洗い直し、星野が役所の男を見たという日に外出していた人間を探していた饗庭と華子。ついに犯人を特定した饗庭は、業務記録を華子に手渡す。「簡単に見つけちゃった」。いつもどおりにおちゃらけながらも、さすがに饗庭の表情も硬く見える。 “真犯人”を特定した饗庭と華子は、若月の元へと向かった。まず2人は若月に、滞納している理由を聞くことにしたのだ。3年前に事故で両親を亡くした若月は、金銭的に厳しかったことから進学を諦めた。祖父の介護をしていることもあり、アルバイトだけでは生活が苦しいという。 しかし、祖父の介護もあって条件に合う会社がなく、他に正社員として雇ってくれる働き口を探す時間もない。今は祖父の年金と、若月のアルバイトで生計を立てているという。納税扶養控除を受けているというが、状況は厳しいのだとか。 自身の生活の状況を話し終えた若月は、「話って住民税のことですよね」と饗庭と華子へ問う。厳しい表情で顔を見合わせる饗庭と華子は、前任の担当者であることを突き止めた“真犯人”鷺沼宏樹(猪塚健太)との間に何があったのかを尋ねた。 そして、饗庭と華子は鷺沼が残業をして徴税禁止リストを作成している現場へ。みんなが熱心に捜索していることを目の前で見ていた鷺沼は、「そりゃ、バレるよな、ズルなんかするもんじゃないね」と全てを悟った様子でそうこぼす。 若月とは家が近所で、若月が子どもの頃から顔見知りだった鷺沼。若月は鷺沼の子どもと、本当の兄のように遊んでくれていたそうだ。しかし、3年前に両親を亡くしてからは生活が急変したことが分かった。若月が税金を滞納していることを知り、進んで担当を引き受けて相談に乗るようにしたという。 だが、相談に乗れば乗るほど、若月は分納が難しいほどの生活苦であることが判明する。口座の差し押さえや、家宅捜索でさえも回収が厳しいほどの生活環境。急場を凌ごうとポケットマネーを渡すようなこともしたが、そんなことがいつまでも続けられるわけもない。そこで鷺沼は、若月の税金を停止処分として納めずに済むようにすればいいと考えた。 停止理由を誇張して停止処分を受けられるように申請した鷺沼だったが、当時の財務部長に不正がバレてしまう。若月の税金を停止処分にしようとしたという弱みを握った財務部長は、責任を取らせる形で鷺沼に徴税禁止リストを作成させることに。そして、その見返りとしてリストに若月を加えてもよいという。業務の不正に関する処分放免と若月の生活をダシに、鷺沼を縛り付けたのだ。 ■「1人を特別扱いするということは、他の人を不当に扱うということ」 許されないことであると分かっていながらも、他に若月を助ける方法が見つからなかったと告白する鷺沼。若月本人には“若者を助けるための制度”の審査に通ったことで、税金の支払いを回避できたという適当な理由をつけて説明したという。徴税禁止リストには若月の働く清掃会社の社長も掲載されていたことを利用して、若月の名をリストに掲載させたのだとか。 「でも、俺は今目の前にいる人を助けたかったんだ。助けようともしないで、なんとかできたかもしれないってずっと後悔することになるのが嫌だった」。鷺沼が絞り出した言葉で饗庭の脳裏に蘇ったのは、助けられなかった財務省時代の同僚が飛び降りる瞬間の記憶だった。 「目の前の人を助けたい。助けられなかったら後悔する…そんなもん当たり前じゃないすか。それでも起きてしまったことに向き合って、できることをやるしかないんすよ」。大声ではないのに、気持ちを強く感じる饗庭の言葉。続いて華子も「誰か1人を特別扱いするということは、その他の人を不当に扱うということです」。震える唇で鷺沼に訴えかける。 饗庭の目には怒りではなく、もっとずっと複雑な感情が渦巻いて見えた。「ねえ鷺沼さん。今までどんな気持ちで俺たちと一緒にいたんですか。どんな気持ちで一緒に働いて、一緒に笑っていたんですか。公平公正に仕事している俺たちのこと、どんな目で見てたんですか」。誰もいなくなった静かな第三課係のオフィスに、饗庭の静かな声が響く。「鷺沼さん、公務員なめないでください」。 ついに徴税禁止リストを手に入れた饗庭と華子は、副市長・相楽義実(本郷奏多)に突きつける。しかし、間一髪リストに記載されていた企業を捜索したという資料を第一係の係長・日比野みのり(石田ひかり)が持ち込んだ。徴税禁止リストは「記載のある企業・個人が捜索を受けない」というもの。相楽は捜索を受けた企業名が記載されている以上、これは偽物の怪文書に過ぎないとリストを認めなかった。 せっかく手に入れたリストが不正の証拠として認められず、うまくかわされた形の饗庭と華子。しかし、作成者であった鷺沼は責任を取って辞めようとしていた。それを見た饗庭は、「相楽たち“上”はまだそのリストのことを認めてない。存在してないものを理由に、鷺沼さんの退職を認めんのかっつー話」と問題を投げかける。 「ダメだ…そんな、こじつけの理屈。これは俺のケジメの問題だ」と譲らない鷺沼に、饗庭は「だったらそのことを、俺たちと一緒に証明してくださいよ」とダメ押し。「逃げないで戦ってくださいよ…先輩…」という饗庭の優しい声に、鷺沼の目からは涙がこぼれた。 SNSでも「優しい人ほど、利用されて追い詰められるんだよな…。鷺沼さんのやったことは悪いことだったけど、饗庭ちゃんの言葉で救われた」「逃げるな戦えって、深いことをいうなあ。贖罪の方法は人それぞれだと思うけど、饗庭ちゃんのそれは優しさなのか厳しさなのか…」「今回の『公務員、なめないでください』がかっこよすぎた」といった声が相次いでいる。