昨年優勝したジョン・ラーム(写真左・撮影/Blue Sky Photos)と94年に初優勝したときのホセ・マリア・オラサバル(写真右)

昨年のマスターズで母国スペインのカリスマ、セベ・バレステロスの誕生日に優勝、今年も偉大な先輩の誕生日にチャンピオンズディナーのホストを務めたジョン・ラーム。連覇を目指す彼にとって今回は追い風ばかりではない。LIVに移籍したことで想像以上に風当たりは強いのだ。そんな中彼が語ったレジェンドから学んだこととは？

オーガスタナショナルGCの攻略法は歴代優勝者たちが一番よく知っている。ディフェンディングチャンピオンのラームはマスターズ2勝のレジェンドでスペインの先輩ホセ・マリア・オラサバルのアドバイスが彼を勝利に導いたと認めている。 未冠のころからオラサバルとオーガスタで練習ラウンドをおこない先輩の教えに傾倒していったラームは今年のマスターズジャーナルにこんな思いを綴っている。 「オラサバルから学んだもっとも大きなことは17年の彼のこのセリフです。“ジョン、ローショットで攻める方がどんなときでも結果は良いものだよ“。彼はこうもいいました。“オーガスはリンクスに似ている。リンクスを攻めるつもりでプレーしたことで2度勝つことができたんだ”」 美しい緑の絨毯が敷き詰められた箱庭のようなオーガスタと殺風景でナイスショットが報われないリンクスは対局にあるように思われるが、94年と99年にグリーンジャケットを獲得したオラサバルの意見は違う。 94年に初優勝したとき最終日の14番でグリーンを外したオラサバルはほとんどの選手が球を高くに上げてグリーンに止めようとする状況で、ウェッジではなくアイアンをチョイス。グリーン手前にワンクッションさせて転がし寄せるバンプ＆ランをチョイスした。カップに蹴られチップインは逃したが「上げるより転がすがオーガスタの攻略法」と身を以て示したのだ。 1．スロープ（傾斜）は避けるのではなく利用する。 2．プレッシャーがかかった場面でミスしないためアプローチはいろいろやらずシンプルに決め打ちする。 3．ミスが出るのは仕方ない。だが取り返しがつかないミスではなく許容範囲のミスにとどめる。 これがオラサバルがラームに伝えた三カ条。セベとともにスペインゴルフ界を牽引した彼は90年代中盤にリウマチ性多発関節炎を発症。ツアーを休んで難病克服に努め、99年に復活優勝を遂げた不屈の闘志の持ち主だ。 セベ、オラサバルの系譜を踏襲するラームは今週、低いボールで連覇を達成に挑む。