高松紋平柿、大豊作 かほく特産、過去10年最多110トン超
●天候、栽培管理が奏功 販路拡大に弾み かほく市の特産「高松紋平柿」の今季出荷量が、過去10年で最多の110トンを上回る見通しとなった。秋口に十分な雨が降るなど生育に適した天候だったことに加え、生産者が販売額の引き上げを目指して果実の選定や摘果をきめ細かく行ったことで収量が増えた。生産組合は高松紋平柿のブランド化や販路の拡大に弾みがつくと喜び、最終盤の出荷作業に追われている。 高松紋平柿は大玉で艶のある見た目と滑らかな舌触りが特長。石川県産ブランド農林水産物「百万石の極み」に認定されており、10月の初競りでは最高等級の「プレミアム」1箱(6個入り)に10万円の値が付いた。 JA石川かほくによると、今季は夏場に好天に恵まれ、秋に入ると適度な降雨があったため、果実が大きく育った。生産者が手間暇を惜しまず栽培管理に努めた結果、果実が自然に木から落ちる「生理落果」が減少し、出荷量は昨季の65トンを大きく上回った。 収量が増えた背景には、虫害が少なかったことも影響している。関西や中京などの柿産地では、カメムシに汁を吸われることで出荷量が減ったり、等級が下がったりする被害が相次いでいるが、高松紋平柿は大きな虫害が確認されなかったという。 生産組合は今季、出荷期間をより長くするため、薫蒸処理を施して果実の成熟を抑制し、鮮度を長期間保持する新技術「スマートフレッシュ」を導入した。大豊作により、12月のクリスマス商戦や歳暮需要にも対応できる量を確保できた。 池田昌健組合長は「県内に加え、県外への販路も広げていきたい」と話した。 ★紋平柿 羽咋市から金沢市にかけての宝達山系の山麓地帯に古くからある渋柿。柿の大木があった家の屋号「紋平さ」に由来するとされ、渋柿をガスで脱渋し、濃厚な甘みを引き出す。県内最大の産地であるかほく市高松地区では、19ヘクタールで約70人が栽培している。