「坊っちゃん列車」クラファン目標額の1割 見切り発車が招いた「予想外」大コケの顚末
「CFは継続した事業費を募るには不向き」「返礼品が提供されず、寄付の動機が限定される」「そもそもなぜCFなのか」…。市当局は、アンケートで運行再開を望む声が約80%あったことを踏まえ、坊っちゃん列車を支援したい人からの寄付が見込める点や運行再開に合わせて実施することで関心が高まることなどを強調。寄付金の具体的な使途は改めて議会に諮る一方、経済効果や市民の意識調査を実施し、持続可能な運行に向けた支援策は引き続き検討を重ねるとして理解を求めた。
こうして、寄付金の使途も継続性の議論も棚上げにしたまま予算案は可決。CFがスタートした。
■2回目のCFは…
「坊っちゃん列車は民間企業が持つ市の観光コンテンツ。CFという手法に懸念はあるが、なんらかの支援を早急にすべきだという意識は共通しており、可決に至った」。3月議会で審議の舞台となった産業経済委員会の委員長を務めた清水尚美市議は振り返る。
達成率11・3%という結果は、いわばその懸念が現実になった形ともいえる。
市の担当者は「趣旨に賛同して寄付をいただいた皆さんに感謝し、有効に活用したい」とコメント。一方で、2回目については「総合的に判断し実施について検討する」と説明、実施しない可能性に含みを持たせた。今後市は、市内外へ3千人規模のアンケートを実施、坊っちゃん列車の経済波及効果に関する調査も行い、支援方法について伊予鉄道と協議を続けていくとしている。
運行開始以来、累計赤字は14億円ともいわれる坊っちゃん列車。「持続可能な支援」のあり方を模索する関係者の苦悩はまだまだ続きそうだ。(前川康二)