3月月例報告「足踏みも見られるが緩やかに回復」 デフレ脱却宣言に向けての地ならし
経済アナリストのジョセフ・クラフトが3月25日、ニッポン放送「飯田浩司のOK! Cozy up!」に出演。政府が公表した3月の月例経済報告について解説した。
2024年3月の月例経済報告、景気判断は「足踏みも見られるが緩やかに回復」を維持
政府は3月22日に関係閣僚会議を開き、3月の月例経済報告をまとめた。景気の状況については「足踏みも見られるが緩やかに回復している」という判断を維持。また、日銀の金融政策の転換を受け「政府と日銀は緊密に連携し、経済・物価動向に応じて機動的な政策運営を行っていく」とした。
デフレ脱却宣言に向けての地ならし
飯田)22日には消費者物価指数も出ました。日銀の決定も含め、どうご覧になりますか? クラフト)デフレ脱却宣言に向けての地ならしではないかと思います。今回の政府による発表は「政府と日銀は緊密に連携し、経済・物価動向に応じて機動的な政策運営を行っていく」という文言ですが、これまでは「大胆な金融政策、機動的な財政政策、民間投資を喚起する成長戦略」など、アベノミクス「3本の矢」に関する文言が入っていました。しかし、それを削除した。17年ぶりにマイナス金利を解除するなど、日銀はかなりデフレ脱却に進んでいるということです。 飯田)デフレ脱却に。 クラフト)政府が2001年にデフレを認定してから、日本はまだ一応、正式にはデフレ下にあります。しかし、日本もバブル時代の株価を超えてきたので、4~6月のどこかの段階で、デフレ脱却の方向に進むのではないかと思います。
2025年に「今年を上回る賃上げができるかどうか」が政府・日銀の注目事項
飯田)今回、日銀の決定があった背景に賃上げが言われています。中小企業も含めてですが、この辺りを足がかりにしたのでしょうか? クラフト)当局者とその話をしていると、1月の時点で賃上げの状況もある程度見えていたので、おそらく今回は春闘の発表を受け、形として動いたのでしょう。ただ、その前から賃上げ状況については自信を持っていたようです。1月に支店長会議があって、全国の支店長の状況、特に中小企業の状況が報告され、去年(2023年)を上回る賃上げ状況になっています。ある程度、日銀としては自信を持って政策転換を行ったのだと思います。問題は、来年(2025年)も今年並みの賃上げを持続できるかどうかで、それが政府・日銀の最大の注目事項だと思います。