新しい光岡M55 CONCEPTは、本当に55歳の心を揺さぶれるのか?
光岡自動車(以下、光岡)が、発表した創業55周年記念モデル「M55 CONCEPT(エムダブルファイブ コンセプト)」について、小川フミオが考えた! 55歳をメインターゲットに開発されたスペシャルな1台の魅力とは。 【写真を見る】光岡M55 CONCEPTの内外装はこちら(32枚)
光岡の魅力
光岡が、2023年11月16日に発表したM55 CONCEPTが、けっこうな話題を呼んでいるようだ。 光岡のすごいところは、現行車をベースにレトロ風味のボディパネルをオリジナルで用意する手法を、ずっと続けていることにある。 最初は1987年、フォルクスワーゲン「ビートル」をベースに、メルセデス・ベンツの伝説的なモデル「SSK」(1931年)風のボディをかぶせた、光岡自動車のオリジナルブランドBUBUの「クラシックSSK」だった。7.0リッター直列6気筒にスーパーチャージャーまでそなえたレーシングマシン、SSKを表現するのに、既存のフロントエンジン車だとボンネットがうまくデザイン出来ないからと、あえてリヤエンジンのビートルを選んだのは、おもしろい着想だった。 私は、200台販売されたというクラシックSSKの体験こそないけれど、富山県の自動車販売会社が、レトロ風味の改造車を正式登録して販売したことは話題にもなり、その後は機会あるごとに試乗してきた。意外にこのマーケティングが日本での金脈だったのは興味ぶかい事実で、私が住む世田谷の住宅地でも、「ビュート」などよく見かける。 たとえボディパネルだけとはいえ、自動車作りのシロウトが手を染めるのは無理で、それを悟っていた光岡は、日本の大手自動車メーカーからデザイナーを引き抜いて、デザインを任せてきた。はたして、そうして出来上がったビュートのフロントマスクはかなり経営陣の意図どおりのクラシック風味の仕上がりに。いっぽう、リヤはベース車っぽくて、私個人的には統一性の欠如が「惜しいなぁ」と、思ってきた。 人気で納車待ちが長いという「バディ」(2020年)にしても、フロントはクロームたっぷりで、2代目シボレー「ブレイザー」(1981年)なんて言われるフロントグリルが雰囲気を出していた。が、リヤはまんまトヨタ「RAV4」。