米動画配信サービスで政治広告急増、視聴者を効率的にターゲティング
(ブルームバーグ): 米ウォルト・ディズニーの動画配信サービス「Hulu(フールー)」をロサンゼルスで視聴した加入者は、大統領選の予備選・党員集会が集中した5日の「スーパーチューズデー」までの数日間、米上院議員候補から市議会議員候補に至る大量の政治広告を見せられた。
メディア大手各社が自社の動画配信サービスに広告付きバージョンを導入し、広告の受け入れを拡大しているため、動画配信サービスは政治広告の発信地として急成長している。
選挙キャンペーン支出を追跡しているアドインパクトのデータによると、今回の選挙戦では動画配信サービスでの政治広告が2022年同時期の4倍近くに増加している。このペースで拡大すれば近くケーブルテレビを追い越す可能性がある。
すべての動画配信が広告を流しているわけではない。アマゾン・ドット・コムとアップルは自社サービスでの政治広告を受け入れていない。パラマウント・グローバル、ワーナー・ブラザース・ディスカバリー、コムキャストはいずれも広告付きバージョンを立ち上げている。オンラインテレビ広告のパイオニアであるフールーは、2022年に幅広い政治広告を許可した。
今年の大統領選では候補者が過去最高額を費やす可能性があり、動画配信サービスでの政治広告は増える一方だろう。メディアエージェンシーのアッセンブリー・グローバルで政治戦略を指揮するタイラー・ゴールドバーグ氏は、この選挙戦の終わりまでに動画配信での政治広告は15億ドル(約2219億円)に上ると予測している。より効率的なターゲティング広告が展開できることも、オンライン広告の魅力に寄与している。
動画配信サービスは放送局とは異なり、政治広告販売を公に報告する義務はない。そのために選挙運動で味方や敵がどのような支出をしているのかを知ることが難しくなっている。しかし規制当局が規則を変更すれば可視性が高まるため、シフトがさらに加速するかもしれないと、ゴールドバーグは話した。