絆チャーターで応援の旅 小松―仙台空港、9月運航
●石川、富山の被災地巡る ●ほっこく観光と宮城の会社連携 能登半島地震で被災した石川県と、東日本大震災で被害に遭った宮城県を航空機で結ぶ「絆チャーター便」が9月に運航される。旅行会社の「ほっこく観光」(金沢市)と「ツアー・ウェーブ」(仙台市)が連携し、チャーター便を使った復興支援旅行を開催する。仙台からの旅行客は石川や富山を回り、被災した各地の現状を知るとともに、現地の経済を回して観光産業の再生を後押しする。 絆チャーター便は、9月6、9日にそれぞれ小松―仙台空港間で1往復する。定員はそれぞれ70人で、行きと帰りの片道ごとに、ほっこく観光とツアー・ウェーブの旅行客が搭乗する。 仙台発のツアーは3泊4日の日程で、北陸三県周遊などの5プランを造成した。能登地区を訪れるプランでは、バスで千里浜なぎさドライブウェイを走るほか、今月中旬に営業再開を予定する能登金剛遊覧船で、志賀町の景勝地「巌門(がんもん)」を周遊する。富山では氷見温泉郷のホテルに宿泊し、高岡市の雨晴海岸などを訪れる。 金沢市の金石港で「輪島出張朝市」を見学する旅行や、災害ボランティア希望者の利用を見込んでホテル宿泊とレンタカー1台が付くフリープランも用意した。 ツアー・ウェーブは2021年、東日本大震災10年、熊本地震5年の節目として、仙台―熊本空港間で「絆チャーター便」を初めて運航した。能登半島地震の発生から半年が過ぎ、旅行業のできる支援として第2弾の絆チャーター便の運航を企画。地元の「ほっこく観光」が運航に協力することを決めた。 ツアー・ウェーブの江口篤社長は東日本大震災で、宮城県多賀城市の自宅が天井まで津波に漬かり、帰宅できたのは約1カ月後だった。江口社長は「被災地を風化させないことに加え、現地でお金を使うことで経済貢献にもつなげたい」と話した。 ●東北ツアーも販売 奇跡の一本松や防潮堤など見学 ほっこく観光は、東北を9月6~9日に巡る4日間のツアープランを販売する。津波に耐えた岩手県陸前高田市の「奇跡の一本松」や同県宮古市の「田老の防潮堤」を見学するプラン、日本三景の松島(宮城県)や蔵王温泉(山形市)の観光プランなどを用意した。 ツアー・ウェーブの江口社長は東日本大震災の時、被災から半年たつと旅行したくても自粛する人が多かったと振り返り、「旅行は気晴らしにもなる」と呼び掛けた。東北を観光することで、13年後の被災地の姿を考えるきっかけにもなるとした。