WBCイスラエルの大敗で侍Jに追い風?
失点を守ったイニング数で割る失点率は、WBCにおいて、時折ややこしいドラマを引き起こす。優勝した2006年の第一回大会では、2次ラウンドのプール1で、日本は1勝2敗に終わったが、アメリカがメキシコに1-2で敗れたことで、3勝の韓国以外の3チームが1勝2敗で並ぶことになり、この失点率ルールで日本が奇跡的に準決勝へ勝ち上がった。 また今大会の1次ラウンドプールDでも、イタリア、メキシコ、ベネズエラの3チームが1勝2敗で並んだ。この場合、最も失点率の悪いチームが脱落、残り2チームでプレーオフを行うのだが、当初、ベネズエラが最下位とされていたのだが、サヨナラ負けしたイニングに1アウトもとれていなかったことから守備イニングが9ではなく8イニングとなり、計算をやりなおされた結果、メキシコが最下位となり、ベネズエラがプレーオフに進出することになったのである。 それほど微妙な戦いになるのだが、この日、12失点したイスラエルは、大きく失点率を落とした。もちろん、日本の今後の2試合の戦い方次第になるが、侍ジャパンが誇る投手陣が2桁失点することは考えにくく、最悪のケースになっても、ひとつのアドバンテージは手にしたとも言える。 イスラエルは今日14日は休養日。最後の日本戦で再び旋風を巻き起こす気構えは失っていない。 「確かに、ここまでは順調にきた。いい雰囲気だった。でもチームはまだ歴史が浅い。大敗したが、情熱的なプレーはできたと思う。選手は、みんなプロだ。明日、シャワーを浴びて休めば、連敗ストップのショックなど流し去ることはできる。昨日のオランダ戦を見たが、日本は非常に粘り強いチーム。勝つためにはピッチャーが、ベターなピッチングをしなければならない。重要なのは制球力。アウトをとるメッセージをこめた強いボールが必要になると思う」 16人の投手をベンチ入りさせて、投手力重視のチーム編成をしているウエインスタイン監督は、日本戦のポイントをオランダ戦では崩壊した投手陣の建て直しだと見ている。 だが、メジャー通算124勝のジェイソン・マーキーが12日のキューバ戦で69球を投げたため、「50球以上は中4日」の規定に沿って、日本戦では先発できない。ウエインスタイン監督は、「まだ誰を投げさせるを決めていない」と答えた。2人目の先発、ベーカーは、この日のオランダ戦に投げさせたため、日本戦には、ここまで中継ぎ起用してきた投手の中から、誰かを抜擢するものと考えられる。 この日、侍ジャパンは、予告先発された菅野、青木ら一部選手が東京ドームで調整を行った。キューバに1次ラウンドに続いて連勝、イスラエルを破って無傷の6連勝で米国に乗り込むつもりで準備を進めている。