センバツ高校野球 山梨学院、初戦快勝 好機に得点 アルプス歓声 /山梨
第95回記念選抜高校野球大会(毎日新聞社、日本高校野球連盟主催)が18日に開幕し、2年連続6回目の出場の山梨学院は東北(宮城)と対戦し、3―1で勝利した。両チームの投手が力投を続ける中、積極的な走塁で得点を重ねた選手たちに、三塁側アルプススタンドから大歓声が送られた。2回戦は大会第6日に21世紀枠の氷見(富山)と対戦する。【竹田直人、大野航太郎、大塚愛恵】 ◇最少失点で完投 今大会の開幕戦となった東北戦は、天候不良のため予定より約1時間半遅れて始まった。吉田洸二監督は「何としてでも勝ちたいという気持ちが強く、時間変更や天候などは全く気にならなかった」と振り返る。 まっさらな甲子園のマウンドに登った先発の林謙吾(3年)も「緊張はあまりなく、強い気持ちで試合に入れた」。被安打5、1失点で完投という初戦に「最少失点で投げられたので良かった」と満足そうだった。 待望の得点は五回の2死から。4番の岳原陵河(3年)が四球で出塁し盗塁で二塁へ進むと、主将の5番・進藤天(3年)の適時打で先制。続く佐仲大輝(3年)が右中間を破る二塁打を放つと、一塁走者の進藤が一気に本塁に還った。 七回には相手に1点を返されたが、その後の攻撃で3番・高橋海翔(3年)と岳原の連続安打などで好機を作ると、佐仲が犠飛を放って試合を決めた。 昨春と夏の甲子園は1得点しかできずに敗退していただけに、指揮官は「ようやく(初戦敗退の)沼を抜けられた」と喜んでいた。 ……………………………………………………………………………………………………… ■ズーム ◇精神面の成長、自信に 山梨学院・林謙吾投手(3年) 成長を続けるエースが、チームにとって4年ぶりとなる甲子園での初戦突破に導いた。 「ランナーが出ても気にせずに投げられた。気持ちの切り替えがうまくできた」と好投の要因を振り返る。 昨秋の明治神宮大会では、五回までは2安打無失点だったが、六回に先頭打者に安打を打たれ走者を背負った。「動揺して自分の投球ができなくなった」といい、6長短打を浴び6点を失った。 しかし、この日は違った。五回に先頭打者に二塁打を打たれたが、「ランナーが出るのは当然のこと。目の前の打者を抑えることに集中すればいい」と気にしなかった。「神宮のときよりもメンタル面は成長している」と自信を見せる。 この日は最速130キロ台後半だった直球もキレがよく、相手打線は打球を前に飛ばせない場面も目立った。「球速よりも質を追求して冬に鍛えてきた。今日は真っすぐの強さで押せた」。「甲子園で完投勝利できたのは自信になった」と話す右腕の躍動はまだまだ続く。【竹田直人】