新ブランド「郡山KARAPPO(からっぽ)」を創設 福島県郡山市の高柴デコ屋敷の若手職人
300年以上の伝統を誇る民芸品に新たな魅力が吹き込まれる。福島県郡山市の高柴デコ屋敷の若手職人が新ブランド「郡山KARAPPO(からっぽ)」を創設し、十二支のお面など新商品を売り出す。ブランド専用の通販サイトも新設し、販路を広げる。3月23日にはお面姿で踊り続ける「郡山からっぽ祭り」をデコ屋敷駐車場で初開催する。デコ屋敷本家大黒屋の21代当主橋本彰一さん(49)は「新しい形で伝統を継承し、販路拡大や職人育成につなげたい」と意気込む。 デコ屋敷の4工房は、七福神と天狗のお面や十二支の張り子を制作してきた。新たな視点で張り子の良さを発信しようと2022(令和4)年春、彰一さんと橋本広司民芸の橋本将司さん(43)が干支(えと)のお面作りに着手した。 商品開発に関する市の委託事業で紹介された吉野敏充デザイン事務所(山形県新庄市)などの助言を受け、踊り用(税込み4950円)と、子どもが頭に飾る小面(同3850円)の2種類を完成させた。和紙の素材感を楽しんでもらうため、従来より色を塗る部分を少なくした。口から下を覆わないのがデコ屋敷のお面の特徴だ。
「KARAPPO」は地域の農民が張り子のお面をかぶり、心身を無にして七福神やひょっとこ踊りで豊穣を祈る伝統に由来する。3月23日の「郡山からっぽ祭り」は地域の文化を再確認するとともに、日常を少しだけ忘れて踊り、新たな気持ちで春を迎えてもらう機会にする。 新商品開発を機に設ける通販サイトは3月から稼働させる。これまでは工房兼店舗での販売が大半だった。福島空港など県内数カ所だった出荷先を増やし、「KARAPPO」ブランドをはじめとした商品を販売する。将来的には海外展開も視野に入れる。 商品の安定供給に向け、職人の育成が不可欠となる。4工房の職人約20人のうち型作りの技術を唯一持つ彰一さんは、3Dプリンターや粘土などを使った最新技術を同世代の職人に広める活動も始めた。「手作りの良さを大事にしながら、時代に合った物を作りたい」と話している。 ■3月23日郡山からっぽ祭り 29日までクラウドファンディング
郡山からっぽ祭りは出店が午後3時、祭りが同5時30分開始で、ともに同8時終了予定。デコ屋敷のお面を持参するか会場で購入すれば入場できる。「おたき上げ」は、からっぽにしたい物をお札に記し、だるまに入れて燃やす。「郡山KARAPPOプロジェクト」は29日まで、クラウドファンディングで祭りの運営費用を募っている。目標金額は228万円。お面、オリジナル名入れだるま、絵付け体験などの返礼品がある。問い合わせはデコ屋敷本家大黒屋へ。 クラウドファンディングのサイトURLはこちら https://camp-fire.jp/projects/view/725093