「名残を惜しむ暇ない…」元力士、第2の人生は140年続く実家の食堂から 市民に愛される味を守り続けたい
年を重ねる父、強くなった「手伝いたい気持ち」
相撲界に進まなければ料理人になり食堂を継ぎたい―と思っていた。父の道彦さん(72)は「俺に気を使わなくていいんだぞ」と声をかけていたが、帰省のたびに体調を悪くしている父を見て「手伝いたい気持ちが強くなった」。
食堂は、料理を担当する道彦さんをはじめ家族を中心に切り盛りする。かつ丼やエビフライ、から揚げなど定食メニューが充実し、市民に愛されてきた。松田さんは今、揚げ物の衣付けや洗い物、配膳をこなすのが中心。料理については「焦らずにやっていきたい」と話す。
伝統の味を継ぎつつ、将来は部屋で学んだちゃんこ鍋をメニューにと考えている。飯田市の小中学生が所属する松尾相撲クラブの練習にも顔を出す予定で、「地元の子どもに相撲界で学んだ経験を伝えたい」と意気込んでいる。