「台湾は中国共産党に隷属したことはない」ぶれない頼清徳総統の主張と中国の軍事圧力が高める民主主義の“結束”
中国による軍事演習は、中台の軍事紛争の際の台湾への国際的な支援の可能性を抑止すべく軍事力を誇示したものとみられているが、台湾外交部によれば、演習は40以上の同志国からの台湾に対する支持を高める原因となった。 米国務省は「定例の演説に対する中国の軍事的挑発対応は不当だ」とし、日本、フランス、英国などの民主主義国は台湾海峡の平和の重要性を強調し、「一方的な現状変更行動」に反対した。 過去一年間に10カ国の軍艦が台湾海峡を通過し、その中には20年ぶりにドイツの艦船、そして、前例のないことに日本の自衛隊の海軍駆逐艦が含まれる。 日米豪印4カ国の協力枠組み「クアッド」と米国・英国・豪州3カ国の安全保障枠組み「AUKUS(オーカス)」に加えて、中国の挑発的な軍事拡張主義を封じ込めようと、日比相互アクセス協定など、アジア太平洋地域の志を同じくする民主主義国の間で軍事協力が活発化している。 中国は、軍事的威圧が国際社会の反発を高めていることを知るべきだ。 * * *
ぶれない頼清徳総統の主張
上記のTaipei Times社説は、台湾海峡をめぐる中国・台湾間の軍事的緊張関係は頼清徳政権下において、ますます高まりつつあることを論評している。 頼清徳総統は10月初めの双十節(国慶節)のレセプションにおいて「『中華民国(ROC)台湾』と『中華人民共和国』は互いに隷属関係にはない」と明言した。 中国はこれに対し、直ちに台湾を取り巻く形で、軍事演習を行い、これは「台湾独立の分離主義者」への厳しい警告であると述べた。 頼清徳は上記スピーチのなかで、「ROCは113年前に孫文たちによって樹立され、自由と民主、寛容を標榜してきた」と述べるとともに、中華人民共和国が樹立されたのは75年前のことであり、今日の自由で民主の「中華民国」を代表するものではない、と正鵠を射た発言を行った。
Taipei Timesはこの頼の発言を取り上げ、「PRCは一日たりとも中華民国(台湾)を支配したことはない」というのは正しい、と論評している。 頼清徳はもともと「民進党」のリーダーの一人として頭角を現した時、自分は台湾独立のために仕事をしたいと考えている、と述べて注目を浴びた。その後、蔡英文政権の副総統などを経験し、「台湾独立」に直接言及することを封印し、そのかわり、台湾はすでに主権の確立した「主権国家」である、として中国との間では「現状維持」を目指し、対等の話し合いを行う、との立場を表明してきた。今回の双十節(国慶節)での頼清徳の発言は、いずれにせよ、「中国は台湾を代表する権利はない」というものである。