墨田区内で行われた落語会での五街道雲助（左）と山本亨区長

　落語家として４人目の人間国宝（重要無形文化財保持者）に昨年認定された五街道雲助（７６）が出身地の東京・墨田区の名誉区民に選定され、同区より２５日に発表された。墨田区の名誉区民は、ソフトバンク・王貞治会長（８４）と押絵羽子板職人の故・西山幸一郎氏に次ぐ３人目となる。 　五街道雲助は墨田区本所出身。１９６８年に十代目金原亭馬生に入門。７２年に二ツ目、８１年に真打昇進。独自の芸を創り上げ、東京の落語界を牽引する本格派の演者の一人として活躍し、昨年７月に五代目柳家小さん、三代目桂米朝、十代目柳家小三治に次ぐ落語家として４人目の人間国宝に。渋く低い美声で江戸弁を操り、巧みに登場人物を描きわけ、喜怒哀楽といった情を語る芸は高く評価されている。 　今回の名誉区民の選定は９月１１日の９月議会の本会議において全会一致で同意された。「江戸の古典落語を高度に体現し、長年の研鑽（けんさん）に基づく卓越した技量を数多くの高座で示すとともに、落語界の第一人者として後進の指導や育成にも尽力される姿は、広く区民が敬愛し、誇りとするところ」と同区。山本亨区長も「以前、師匠の落語をじっくりと聞かせていただき、心に響く渋い声と江戸風情たっぷりの語り口に、たいへん感動しました。師匠の人間国宝認定という誉がきっかけとなり、『落語のまちすみだ』という新たな文化が生まれ、区の魅力発信にもつながっていくことを大いに期待しています」とコメントを発表した。 　今後は区役所内で功績を紹介するコーナーを設け、区民に向けて広く周知するほか、顕彰式も開催して新たな名誉区民誕生の喜びを区民と共有する。