SUSEのLinux製品群がアップグレード--「SLES」のサポート期間は19年に
SAPユーザーも「SLES for SAP Applications 15 SP6」を歓迎するだろう。このリリースでは、SAPの顧客やパートナーが安全性と信頼性に優れたLinuxプラットフォームにおいて、データセンターからクラウドまで、ミッションクリティカルなSAPワークロードを実行することができる。これには「Trento」の最新のイノベーションへのアクセスが含まれる。システム管理者はこのオープンソースのウェブアプリケーションを使用して、サービス実装の遅延や予定外のダウンタイムの原因になり得るSAPシステムの一般的なインフラストラクチャーの問題を回避することができる。 エッジコンピューティングや小規模サーバー用の軽量なLinuxディストリビューションを求めているユーザーのために、SUSEは「SUSE Linux Enterprise Micro 6.0」もリリースした。この軽量かつ安全でイミュータブルなオープンソースのホストOSは、コンテナー化されたワークロードや仮想化されたワークロード向けに最適化されている。スタンドアロンコンテナーの展開を簡素化し、「Kubernetes」展開用の安定したプラットフォームを提供する。フルディスク暗号化もサポートされているため、データセキュリティを強化することができる。 SUSEは、「SUSE AI」というLinuxディストリビューションを使用して、独自のAIプラットフォームも構築している。これは一般的なAIの取り組みとは異なるものだ。独自の大規模言語モデル(LLM)やチャットボットを開発するのではなく、企業が非公開の安全なAIプログラムを独自に構築するために必要なツールを提供している。たとえば、何者かに盗み見されることを心配せずに、自社のデータを使用して自社製品用のAIスマートトラブルシューティングツールを構築したいなら、まさにそれをSUSEの製品によって構築することができる。 メインのSUSEファミリーの一翼を担うのが、SUSEの最新のLinuxリリースである「SUSE Liberty Lite Linux」だ。これは「CentOS 7」に代わるディストリビューションであり、CentOS 7は今も非常に人気が高いが、2024年6月30日にサポート期間が終了する。SUSEが用意した答えは、非常に互換性の高い代替製品だ。文字どおり、リポジトリーをCentOSからLiberty Liteに変更するだけで、引き続き使用することができる。 さらに、Liberty Linux Liteは、Open Enterprise Linux Association(OpenELA)のLinuxコードベースで構築された初のLinuxディストリビューションだ。OpenELAでは、CIQとOracle、SUSEが協力して、「Red Hat Enterprise Linux」(RHEL)クローン向けのLinuxコードベースを作成した。 「SUSE Manager 5.0」を使用することで、実行しているSLESの種類に関係なく、サーバーとLinuxインスタンスを監視することができる。実際に、SUSE ManagerはSLESファミリー以外にも非常に多くのディストリビューションをサポートしている。現在のサポート対象のLinuxディストリビューションは16種類以上だ。これには、RHELとその多数のクローン、「Debian」「Mint」、Ubuntu Linuxなどがある。そればかりか、「Raspberry Pi OS」(旧称「Raspian」)でも使用できるため、大型コンピューターに加えて「Raspberry Pi」の管理も可能だ。 「Salt」DevOpsシステムをベースとするSUSE Managerは、あらゆる場所のあらゆる規模のあらゆるLinuxにおいて、パッチとコンプライアンスの管理を自動化する。コンテナー化によってレジリエンスとスケーラビリティー、移植性が向上しており、SLEX 15 SP6にリモート認証機能を追加する。 全体像を把握できただろうか。SUSEは今もSLESに全力で取り組んでいる。むしろ同社は、主力のビジネスクリティカルLinuxプラットフォームの次期メジャーリリースである「SLES 16」と「SLES for SAP Applications 16」(2025年にリリース予定)に向けて、すでにさらなるイノベーションに取り組んでいる。SUSEにとてっても、Linuxにとっても、未来は明るい。 この記事は海外Red Ventures発の記事を朝日インタラクティブが日本向けに編集したものです。