中古市場ではお高め?「カッコよくてやさしい」知られざる中空アイアンの世界
中空がここまで増えた理由は?
中空アイアンはキャビティバックにフタをすることでデザインの統一感を出しながら、“中身”で番手ごとに最適な重心設計にできることがメリット。問題だった打感と打音も、樹脂や比重の軽い金属を入れたりすることで改善した。溶接技術も上がったことで、ロフト角やライ角を調整できる素材もある。ミスに強く、カッコイイ中空アイアンはここ5年間で著しく進化を遂げている。
まさにマッスルバックと見間違えそうなのがミズノ「ミズノプロ245」(2023年)だ。軟鉄鍛造にこだわらず4番から8番まではクロモリ鋼のフェースで反発を高め、タングステンとステンレスで低重心化+重心の深さを狙った。9番からGWは、軟鉄鍛造ボディにステンレスをプラスし打感も抜群。番手ごとに用途を見極めた構造は、思わず攻めていると感心してしまう。残念ながらまだ在庫は少ないが、7本セットを11万円台で見つけることができた。 プロ使用モデルにして、飛距離も寛容性も十分なのがテーラーメイド「P790」(2023年)。2017年から4代目となる最新モデルは打感が確実に向上した。スッキリしたデザインも魅力。5本セットで10万円前後から見つかる。 最後はタイトリスト「T200」(2023年)はいかがだろう?アスリートモデルの「T100」、「T150」とブレード長は同じでソール幅は広めのヘッド。5番から7番までバネ鋼のフェースを採用し、8番以下は軟鉄フェースと凝っている。ロフト角も7番で30.5度と今どき。硬派でカッコよく、そしてもちろんやさしい。6本セットが10万前後で見つかる。
お手頃価格でオススメの中空アイアンは?
最新モデルはカッコいいけど、お値段に閉口してしまう読者の声が聞こえてきそうなので、お手頃モデルを紹介しよう。中空と言えば、フォーティーンが発売した「IF-700 FORGED」(2020年)を忘れてはならない。美しいヘッド形状は一見キャビティに見えるほどで、反発の高いフェースを軟鉄鍛造ボディにプラズマ溶接している。ボールがフェースに乗るような打感の良さが魅力だ。6本セットが5万円前後で見つかるだろう。 オノフ 「FORGED KURO」(2019年)は、マッスルバックで難しそうな見た目の予想を裏切るやさしさが魅力。フェースには特殊なバネ鋼を使っているので打音は高めだが、打感はやわらかい。6本セットが6万円前後で見つかるだろう。先程紹介した「716T-MB」も価格的にオススメできる。7番で33度とイマドキのアイアンとしてはロフト角が大きいが、見つかれば6本で4万前後が相場だ。
カッコいい中空アイアンは、人気のあるモデルが多く価格も高騰している。しかし、アイアンは長く使うと、それぞれのゴルファーの距離感が育ち、安心感も生まれる。人気モデルは買い取り価格も安定している。人気のモデルを購入するか? 試しに手頃なモデルを買ってみるか? 以前紹介したようにマッスルバックモデルと番手ごとで組み合わせて、コンボアイアン化を目指すのも面白い。たくさん妄想して、自分なりの正解を突き詰めてみよう。(文・田島基晴)