宇多田ヒカル「『Automatic』とか昔の曲を初めて普通に聴けた」ベストアルバム『SCIENCE FICTION』の仕上がりに感無量
ジョージ・ウィリアムズ、安田レイがパーソナリティをつとめるTOKYO FMの生放送ラジオ番組「JA全農 COUNTDOWN JAPAN」(毎週土曜 13:00~13:55)。4月13日(土)の放送は、宇多田ヒカルさんが登場。ここでは、4月10日(水)にリリースしたべストアルバム『SCIENCE FICTION』や、7月から始まる全国ツアーについて語ってくれました。
◆『SCIENCE FICTION』に込めた想い
――初のベストアルバム『SCIENCE FICTION』はどういったアルバムになりましたか? 宇多田:それこそ「Automatic」とか昔の曲を初めて普通に聴けたというか、素の状態で聴けて、当時の自分にまた会った気分(になりました)。 ――どうして素の状態で聴けたんでしょう? 宇多田:“あまりにも有名になりすぎた”というか、曲自体が意味を持っちゃって“本当に私の曲?”みたいな、自分と関係ない曲に感じちゃうことがあって。 でも(今作の制作を機に)ミックスし直したことで“白黒がカラーになった”みたいな、そこまで極端ではないかもしれないけど、ミックスが変わったことで、古い映像が鮮明になっていって、その生々しさにビックリするみたいな体験をして。 だから、本当に自分を誇らしく思えるアルバムになりましたね。“25年間ずっと変わらない姿勢で、こんなに気持ちを込めて1曲ずつ真剣に作ってきたんだ、あ~すごいな!”って思いました。 ――ミックスをし直して、最初に感じたことは何でしたか? 宇多田:(リリース当時に)自分がアレンジした曲で、“もっとこういうところが聴こえていてほしかった!”“もっと立体的に聴こえたらいいのに”っていうところが、思っていたような感じになっていたりしました。 (今では)“自分はどうしたいのか”っていうイメージがハッキリしているんだけど、(当時は)そういうイメージを(エンジニアに)伝えられなかった頃の曲とかを、今、気心も知れて長年一緒にやっているエンジニアの人と作業できているのがすごく感動。 ――アルバムタイトル「SCIENCE FICTION(サイエンス・フィクション)」にした理由は? 宇多田:(私の)歌詞はノンフィクションというわけでもないし、かといって架空の話でもない、でも、私にとってはリアルに自分が感じたことしか書けないじゃないですか。だから、あくまでリアルなんだけど、詞だから(「Automatic」の歌詞)“7回目のベルで電話を取ったか?”って言ったらそんなの数えていないし、あくまでも描写だから。 “何が事実で何が事実じゃないのか”というのとはまた違う話なんだけど……とにかく説明しにくくて、「じゃあ、サイエンス・フィクションってよくない?」って気づいて、私が大好きなジャンルの科学と文学も合わさっていて“いいな”って。